日本人初のUFC王者誕生へ!朝倉海「夢を持つことで人生が豊かないいものになることを、試合を通して伝えたい」──12月8日『UFC 310:パントージャ vs. 朝倉海』フライ級タイトルマッチ
12月8日(日)に開催される『UFC 310:パントージャ vs. 朝倉海』。朝倉海が、試合直前の心境を語ってくれた。
アジアの実力あるMMA選手がUFCの契約権をかけてトーナメントを争う「ROAD TO UFC」。3回目となる『ROAD TO UFC Season3』では、日本人8選手を含む総勢32名の総合格闘家が、男子フェザー級、男子バンタム級、男子フライ級、女子ストロー級の4つの階級で頂点を目指します。
昨年の『ROAD TO UFC Season2』は一階級上のライト級でトーナメントに参戦し、対戦相手の変更など逆境を乗り越えながら準決勝という結果に終わった原口伸選手。今回はフェザー級という本来の適正階級でセカンド・チャンスに臨みます。原口選手が、出発前に日本で意気込みを語ってくれました。
──RTU参戦が決まった瞬間の感想を教えてください。
原口:ギリギリ1ヶ月前とかに決まったのですが、朝起きたらマネージャーから連絡が入っていて。すぐ「よし、やるぞ」という気持ちになりました。
──昨年のシーズン2では1階級上のライト級で、準優勝の結果に終わりました。そこから今回また約1年かけてのトーナメントにすぐ「よし、やるぞ」と思えた心境をもう少し詳しく教えていただけませんか?
原口:僕としても(適正階級の)フェザー級でもう1回やり直して、そこでしっかり「自分で契約を勝ち取ろう」という気持ちが一番強かったです。
──1回戦の対戦相手は韓国のホン・ジュニョン選手となりました。相手の印象はいかがですか?
原口:韓国人の選手で、韓国人特有の体の強さとタフさを持った「THE・韓国のファイター」という感じのイメージの選手です。去年、準決勝で戦ったのも韓国の選手でそういう感じだったのですが、立つのがすごいうまかったんです。彼らが同じジムで練習しているというのもあるので同じイメージを持っています。頑張るタイプですよね、きっと。絶対立ってくるとは思っていて。僕も改良してきて、倒してすぐに固めようとして次の動作へと行って、際で立たれるというようなことが多いのですが、1個のテイクダウンにいくらでも時間を遣おうとくらいの気持ちでいます。もし立たれたら立たれたで、もう1回、そのクラッチを外さず倒して、1分くらいかけて背中を着けさせるというくらいの感覚で。そこをちゃんとできればしっかり勝てると思っています。
──打撃のほうはどんな印象ですか?踏み込むワンツーの右が要注意でしょうか。松嶋こよみ選手も被弾していました。
原口:右が強いというのはあるけれど、本当は右からの左の返しに一番警戒しています。蹴りもローと腹を打ってくるけれどそこは良くも悪くも我慢というか、蹴りが入る位置じゃないと自分もタックルに入れないので。インローも、めんどくさいと思います。ただやっぱりそれよりも、先ほど挙がったツーフックがややこしいと思っています。そこだけはもらわずにという形で作っています。
──フェザー級トーナメント出場選手で、ほかに注目している選手や戦ってみたい選手はいますか?この階級は日本人選手が3名出場しますが、その点も含めて教えてください。
原口:僕としても日本人が多ければ多いほどバチバチになって、そのほうがヒリヒリしておもしろいのかなと思っていて。全員レスラーでそれなりに意地もあると思うので、楽しみです。河名選手の相手が6戦無敗で底が見えない未知数な感じは気になっています。他の選手も含めてざっくり戦績を見た程度で。あとは安藤選手がフェザー級でどういうコンディションを作ってくるのかに注目しています。
──どういうブラケットになるのか分かりませんが皆が勝ち上がってきたらどこかしらで日本人対決を経験することになりますが……
原口:そうですね、それで盛り上げていきたいです。周りのひとにもマイナスな言い方で「日本人が多いね……」と言われるのですが、僕としては、日本人対決もおもしろいじゃないか!と思えています。
──安藤選手もそうなのですが、今回原口選手が対戦するホン・ジュニョン選手も、33歳で21戦を経験しています。ベテランと戦うことについては?
原口:そういう部分も、前回決勝のロン・チュー戦で経験できたことだと思っています。あの試合でやらなければいけなかったことをちゃんとやれば、今回の相手との試合は大丈夫だと思っています。
──この舞台でどんな試合をしたいと思っていますか?
原口:タックルに入るタイミングだったり、僕としてはいつもは、レスリングで寝かせて、パウンドでだったり、立たせたらもう1回倒して、という試合運びだったところが、今回は1回倒してから、そこから柔術的な動きなど合わせる練習をしてきたので、そういうところを見てほしいです。
──実際どんな展開になっていくと予想していますか。
原口:相手選手の過去の試合を見た感じではフィニッシュがすごくあるかというとそんなことはないので、ドロドロな試合になりそうな気もしています。前回レスリングを飛ばして使い過ぎた、というのがあって、5分3Rの15分間のなかでやらなければいけないことを5分間で全部やってしまった反省点があります。今回はそこを我慢してしっかり15分間レスリング使うことができればコントロールできるという考えではいます。
──UFCにつながる舞台に出場するにあたって、どんな選手として、世界の人にこの試合に注目してもらいたいですか?
原口:去年負けて言うのも何ですが、自分では勝手に「自分はUFCに行くべき存在だ」と自分を信じて、そう思い込んでいるんです。その思いは去年より強くなっていて。フェザー級で、自分としては適正なのだからもう言い訳ができないですし、自分が望んでいた階級でできることで「行きたい」のではなく「行かなくてはダメな存在だ」と思っています。
──昨年RTUで戦った3試合の経験は、振り返っていかがですか?
原口:1年間走り抜けて、精神的に落ちる部分もありました。でもそれは自分を強くしてくれたので、去年のミスで修正しきれなかったものを今回修正していきたいというのはあるので、そういう意味でいい経験だったと思います。
──決定したのがギリギリということですが、2月に決勝戦を終えて、ダメージを抜いてからはどのように過ごしていましたか?
原口:直さなきゃいけないことが山積みでいっぱいあったので、それをずっと直す取り組みをしていました。
──ではどんなふうにフェザー級で作り直しているのかを伺いたいのですが、まず減量のなかったライト級と比べて、そもそも体重を作ることだったり、コンディションの面ではいかがでしょうか。
原口:まず、減量がちゃんとあるほうが精神も研ぎ澄まされて、感覚もピリッとして「あ、試合だ」って感じがあったのですけれど、ライト級の時にはこれがなかったんだなって。戻ってきたと言う感じです。減量していると勝手に試合のことを考えるようになりますし、減量する分、体の疲れも溜まるからケアもしっかり気を遣えている。逆に減量がない分ライト級のときはそういうところが雑になっていたのかな、ということも感じます。気持ちを整えて試合に臨めそうです。
──転向初戦で、いきなり負けたら終わりのRTUです。その点では不安はなかったですか?
原口:僕的には正直なくて、普段の体重が小さいのもありますし、いま減量していて72kgのときが一番動きがよく、絶対に適正はフェザーだなと感じたりしているので、そこに対しては全然ないです。レスリングでは当日計量の70kgでしたし。
──話が飛んでしまうのですが、同門の武田光司選手も同タイミングでフェザー級に落としました。先輩から何か言葉をかけられたりはしましたか?
原口:「早く行ってくれ」って一言かけてくれましたね。
──練習環境や取り組みとして、新たに始めたり加えたりしていることはありますか?
原口:現在も協栄ジムに行って大橋忠幸さんのもとでMMAで使えるボクシング技術と足の運び、タケダイグウジさんにムーブメントを教わり始めていて、まだ関わり始めて日が浅いからその成果が今回どれだけ出るかはわからないのですが、戦略を立てていただいている面はとても心強いです。そういう方々から教わったことを対戦相手と体型が近い選手にひたすら試してやっているという感じです。
──そういうなかで感じていることを教えてください。
原口:「MMAぜんぜん知らなかったんだな」と痛感しています。これまで「怖いもの知らず」で行けたのも、それはそれで強さではあったとは思います。でも今はちゃんと1から戦略を立てて試合に臨むことに対して、すごく楽しみに感じています。ちょうどアジャストしていく期間で、へたくそでも立ててもらった戦略通りの動きをしようとしているところですけれど、現地に入ったらそれを自分なりに落とし込んで、機械的にならないように動こうと思っています。
──大橋さんとタケさんから教わっていることがだんだん自分のなかでしっくり来ている段階なのですね。
原口:協栄には、最初はやっぱりボクシングをやりに行くんだと思って、バン!バン!みたいにやるのかと思っていたところもあったのですが、組むまでの距離の潰し方とかを教えていただいています。最初の頃は「倒すパンチを教えてもらえるわけではないのだな……」なんて思ったりもしたのですけど、今になって大橋さんの言っていることが全部、タケさんの言っていることとも近づいてきて腑に落ちるものがあって。大橋さんに教えていただいたことを取り入れてはいたのですが、がんばって覚えていただけのようなことを、タケさんから(別の)言い方で、こういうふうに動いてみてと指示を出されたときに、大橋さんに教わったやつじゃない?と思ってみる。そうすると「できているよ!」と言われて「おお、できた」と、より理解できてきました。
──かなり細かく戦略や相手選手への対策を立ててきたということでしょうか?
原口:タケさん達が相手のクセなどを色々分析してくれて、こっちに動いたらやばいとか、こっちに動くと当たりづらい、そういうものを細かく教えていただいて意識できるようになってきたので、そこに対しては自信につながっています。振り返ってみるとこれまでは対策はざっくりしながらも、自分のやることは曲げずに行けば勝てるという感覚でした。今は相手が何してくるかを細かく見て、そのなかで自分がやることをぶつけて行こうという感じなので、自分になかったことをできるようになっていますね。
──進化した姿に期待しています!最後に、U-NEXTのライブ配信を通して応援するみなさんに、メッセージをお願いします。
原口:僕自身、2回目の挑戦となりますが、フェザー級で、自分の力でしっかり契約を勝ち取りたいと思うので、応援よろしくお願いします。
エピソード1:5月18日(土)日本時間19時開始
【男子フェザー級(65.8kg以下)1回戦】ズー・カンジエ(中国) vs. 安藤達也(日本)
【男子フェザー級(65.8kg以下 )1回戦】原口伸(日本) vs. ホン・ジュニョン(韓国)
【女子ストロー級(52.2kg以下)1回戦】フォン・シャオツァン(中国) vs. キラン・シン(インド)
【女子ストロー級(52.2kg以下)1回戦】ホアン・フェイル(中国) vs. 本野美樹(日本)
【ウェルター級(非トーナメント)1回戦】バテボラティ・バハテボラ(中国) vs. キム・ハンスル(韓国)
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