報われる保証のない戦いの中で「心の支え」になるものとは… 張本智和、アジア覇者が強行日程でTリーグに出場し続ける理由
アジア卓球選手権で、日本勢としては50年ぶりとなる優勝を果たした日本卓球界のエース、張本智和。悲願の五輪金メダルに向け、国際試合を転戦して腕を磨き続ける一方で、Tリーグへの出場も可能な限り続けている。その理由とは
欧州サッカーの今季が終わり、各国のリーグがオフシーズンに入りました。すでに注目選手の移籍も動きを見せるなど、来季の訪れが待ちきれない方も多いのではないでしょうか。
ヨーロッパの試合を観戦することでしか味わえない魅力、面白さとは何なのか。これまでにブンデスリーガ(ドイツ)やプレミアリーグ(イングランド)、ラ・リーガ(スペイン)など各国でのプレーを経験し、今なおヨーロッパの舞台で活躍を続ける岡崎慎司選手に、その醍醐味や楽しみ方、来季の注目ポイントなどを伺いました。
——岡崎選手はこれまで、さまざまな場面で「日本のサッカーがさらに発展していくためには、ヨーロッパのサッカーをもっと知る必要がある」とお話されてきました。動画配信サービスの普及などを通じて、試合観戦がより身近になったことは、ヨーロッパを知る機会が増えることにもつながっていると感じます。
岡崎:そうですね。試合が観戦しやすくなったことは一人のサッカーファンとしてもありがたいことで、素直に嬉しいです。ヨーロッパの試合には、日本のサッカーがより前進していくためのヒントがたくさん詰まっているはずなので、その点でも大きな意味があると感じます。
——岡崎選手がヨーロッパの試合を欠かさず観るようになった背景には、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
岡崎:プロ入りしてすぐの頃、当時清水エスパルスの監督を務めていた長谷川健太さん(現名古屋グランパス監督)から勧められたのがきっかけの一つです。すぐに寮の自室でスカパー!の中継を見れるように設定して、それからはもう、文字通りずっとつけっぱなしでした。ほとんど毎日試合を見て、色々と勉強していましたね。
ヨーロッパに渡ってからは、日本と違って時差がない分、ますます観戦しやすくなりました。今でも相変わらず、欠かせない週末の楽しみの一つです。
——私たちファンやサポーターにとっての、いまこの時代に欧州サッカーを観戦する魅力や面白さはどのような点にあると思いますか?
岡崎:何を目的に観戦するかによっても変わってくると思います。僕の場合は勉強のために見ることもあれば、純粋に楽しみたいから見ることもある。目的が違うと、印象に残る場面や感じ方にも違いが生まれます。
なかでも「楽しむ」を目的に観戦するときは、自ずと「個人」に目を向けることが多いですね。全体を満遍なく見るというよりは、個々人の動きや一瞬ごとのプレーに注目しています。
試合中に起こるチャンスやピンチといった局面の全ては、ピッチ上の一人ひとりの小さな動きや考えが積み重なって生まれます。そして、それらの動きや考えの背景には、必ず一人ひとりの人間性がある。そこがまた、面白いポイントの一つなんです。
たとえば、ボールが逆サイドにあるときでもチャンスをうかがうアクションを見せているか。あるいは、前線の選手でもディフェンス時に走り続けているか。「この選手、今日はよく走ってるな」とか、「今日はちょっとサボってるな。もしかしたら移籍したいのかな」とか。一人ひとりに注目しながら、個人を知れば知るほど、楽しみ方の幅が広がるなと感じています。
——岡崎選手が特に観戦することの多いリーグはありますか?
岡崎:一番見る機会が多いのはプレミアリーグですね。息子もファンなので、シーズン中は一緒に観戦することも多いです。
——プレミアリーグのどのような部分に魅力を感じていますか?
岡崎:一番はスピードです。どのチームもボールを奪ってから次のアクションに移るまでが速く、休むことがありません。常に攻撃的な姿勢で、前に圧力をかけながら縦へボールを運び続ける。だからこそ生まれる激しさや強度があります。
その激しさや強度のなかでしか発揮されない技術や上手さがあるんです。まさに、プレミアリーグの試合でしか見れないものだと思います。
あとは現地のファンの応援やリアクションも、観戦していて楽しめる点の一つですね。シュートを決めたときも、外したときも、そうした一つひとつの場面でファンが作り出す、プレミアリーグならではの「色」があります。なんだかすごく自然で、試合と一体化している。その雰囲気もまた、面白く感じられるかもしれません。
——ご自身も2015年〜2019年にわたってプレミアリーグで活躍されました。観戦する側から実際にプレーする側になって最初に感じたこと、印象に残ったことはありましたか?
岡崎:技術からフィジカルまで、さまざまな面で自分と他の選手たちとの圧倒的なレベルの違いを感じましたね。まずは慣れようと努力して、少しずつ「自分でもやれるかもしれない」と思えるようになっていきました。
一方で、自分にはどう頑張ってもできないことも当然ある。それを受け入れたうえで、色々な試行錯誤を続けていった時間でした。
——プレミアリーグ以外にも、さまざまな国でプレーされてきました。他にも観戦をおすすめしたいリーグはありますか?
岡崎:戦術に興味がある人にとっては、ラ・リーガの試合は楽しめると思います。どのチームも洗練された戦術を持っていて、それらのぶつかり合いを見ることができる。「そういう崩し方があるのか」といった発見がいくつもありますし、選手それぞれの立ち位置や動き方も含めて、サッカーの奥深さに触れられるかもしれません。
プレミアリーグと比較すると、ラ・リーガの方が攻守において前に行く場面と行かない場面がはっきりしている印象です。より組織的とも言えますし、ヨーロッパのなかではJリーグに近いリーグの一つかもしれません。
一方のプレミアリーグは先ほども触れた通り展開が早く、攻守において個々人の細かい動きや仕掛けが多い。それぞれのリーグに違いがあり、それぞれにしかない魅力があると思います。
——自宅ではどのようなスタイルで観戦することが多いですか?
岡崎:息子と一緒に複数のデバイスを使って、同時に何試合も見ることが多いです。iPhoneを1台、その隣にiPadを1台、その隣にパソコンを1台……といった具合に、いくつも並べて見ています。
それぞれ別の試合を流しながら「そっちの試合どうなった?」みたいに確認しながらの観戦です。プレミアリーグは同時刻にいくつも試合が始まることも多く、いつからかこうして見るようになりました。最近では息子と「まだあと1台足りない!」なんて話も出ているくらいです(笑)。
——一つの試合を集中してというよりは、同時にいくつも観戦することが多いのですね。
岡崎:そうですね。何か別のことをやりながら見ることもあります。個人的には、それぐらいゆるい感覚で見るからこその楽しさもあると思います。「あんなプレーしてみたいな」とか、そうやって誰かと話しながら時間を過ごすのも大切だと思いますし、サッカーだからこそ、そういう楽しみ方もできると思っています。
——最後に岡崎選手が来季を楽しみにしているリーグやチーム、選手を教えてください。
岡崎:やっぱりプレミアリーグですね。なかでも、常に日本人選手のプレーには注目しています。三笘選手と冨安選手がどこまでやってくれるのか、彼らの活躍を期待しています。新たに日本人選手が加わる可能性もあると思うので、その点も楽しみですね。
リーグ全体に目を向けると、今季の結果を受けて、マンチェスター・シティの一強に近い状態が生まれていると思います。彼らと優勝を競えるチームがどれくらい出てくるのか。ビッグ6(マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナル、リバプール、トッテナムの6チーム)が上位にどれくらい食い込めるかも気になります。
そして何より残留争い。プレミアリーグに残れるか、チャンピオンシップに降格するかで、そのチームの未来は本当に大きく変わってきます。だからこそ、他のリーグにはない真剣さ、熾烈さがあるんです。優勝争いだけでなく、残留争いにもこのリーグにしかない面白さが詰まっていると思います。
岡崎慎司
滝川第二高校卒業後、2005年に清水エスパルスへ入団。2008年から3シーズン連続でリーグ戦2桁得点を記録。2010年にブンデスリーガのVfBシュツットガルトに移籍し、活躍の舞台を欧州へと移す。2013年には同リーグのFSVマインツ05に移籍し、2013-14シーズンはキャリアハイとなるリーグ戦15得点を達成。2015年にプレミアリーグのレスターシティFCに移籍し、同チームのプレミアリーグ初優勝に貢献。 2016年には、アジア国際最優秀選手賞を初受賞。2019-2020シーズンは、スペイン2部所属のSDウエスカに入団。リーグ戦12得点を記録し、優勝(1部昇格)に大きく貢献。昨季はベルギーリーグのシント=トロイデンVVでプレー。
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