絶対的王者が陥った空前の大不振 苦い教訓を糧に再起を誓うマンチェスター・C
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絶対的王者が陥った空前の大不振 苦い教訓を糧に再起を誓うマンチェスター・C

2025.06.08 06:00

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誰も予想だにしない失意のシーズンとなった。前年度王者が陥った極度の不振は、例年以上に波乱の多かった今季の中でも特に大きなサプライズのひとつに数えていいだろう。

マンチェスター・Cは「完成」されていた。ペップ・グアルディオラ監督就任9年目となった今季初め、夏の移籍市場では2番手の立ち位置に不満を抱えていたフリアン・アルバレスを放出したものの選手の大きな入れ替わりはなく、長い時間をかけてチームに浸透した戦術は成熟しきっていた。イングランド史上初のトップリーグ4連覇も過程にすぎず、前人未到の5連覇も現実的と思わせる優勝候補の筆頭だった。

しかしその完成度の高さが裏目に出た。グアルディオラの戦術においては、フィールド上の11人がそれぞれ細分化された明確な役割を担う。その中でチームの核となるポジションを務めていたロドリの長期離脱によって、緻密な計算の上に築き上げられた高次元なフットボールの歯車はいとも簡単に狂ってしまった。

ロドリ不在の影響は顕著になった
ロドリ不在の影響は顕著になった

11月から12月頭にかけて開催されたプレミアリーグではまさかの4戦全敗。その他コンペティションも含めると公式戦7戦未勝利と、近年のパフォーマンスからはかけ離れた成績で今季のタイトルレースから早々に脱落してしまった。

ホームで0-4の敗北となったトッテナム・ホットスパー戦は今季を象徴する試合のひとつだった
ホームで0-4の敗北となったトッテナム・ホットスパー戦は今季を象徴する試合のひとつだった

さらに追い打ちをかけるように、シーズンの後半戦にはディフェンス陣にケガ人が続出。本職ではないマテウス・ヌネスやニコ・オライリーのサイドバック起用が一定の成果を挙げたことはプラスの収穫と捉えられるものの、このような応急処置が来季以降も続くようであればシーズンを通しての不安定さは否めない。

本職ではない右サイドバックで起用されたマテウス・ヌネス
本職ではない右サイドバックで起用されたマテウス・ヌネス

一方で、どうしても暗い話題ばかりに注目が集まりがちだが、それはマンチェスター・Cの近年のパフォーマンスの高さを裏付ける何よりの証拠でもある。なおかつ、大きく調子を落とした時期があった今季でさえも最終的に3位でリーグ戦を終え、チャンピオンズリーグ出場権を獲得した。FAカップでも優勝こそ逃したものの準優勝という成績を収めたことは、このチームが持つ本来の力が非常に高いレベルにあることを物語っている。

前代未聞の不調を経て悲観する意見が大半を占める中、それでも最低限の結果を残し来季へつなげた事実は評価に値する。苦しい時間を経験した常勝軍団は来季、より隙のない圧倒的な力をもってリーグを席巻する可能性すら秘めている。

世界トップクラスの競争力を誇るプレミアリーグにおいて確約された勝利はない。4連覇を達成した絶対的王者が送った失意のシーズンは、その教訓を改めて強調することとなった。


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