古豪再建の鍵は攻撃力 エヴァートン再浮上への分岐点
エヴァートンのスタイルは明快だ。堅守を一番の強みに失点を抑え、引き分けや1点差での勝利で勝ち点を積み上げる。決して華があるとは言えないフットボールだが、それでも強豪ひしめくプレミアリーグにおいて、自分たちのできることを徹底する割り切ったスタイルは一定の成果を挙げてきた。
低調なシーズンを過ごしたウェストハム。22/23シーズンにヨーロッパリーグ優勝を果たしたその面影は見られず、一年を通して特筆して好調な時期も訪れなかった。
チームの核だったデクラン・ライスを失って早2年。ウェストハムの成績は芳しくない。キャプテンのジャロッド・ボーウェンとモハメド・クドゥス頼みの攻撃は、個人の出来に大きく左右され安定感を欠く。また守備を見ても、GKのアルフォンス・アレオラのビッグセーブに助けられるシーンが目立ち、ジャン=クレール・トディボやマックス・キルマン、アーロン・ワン=ビサカなどの実力者を擁する守備陣が十分に機能しているとは言いがたい。
今シーズンの成績を見ても得点は「46」、失点は「62」。降格した3チームを除けば、それぞれワースト2とワースト3の数字だ。得失点差「-16」に至っては残留したチームの中でワーストの数字となった。
これらのスタッツを考慮すれば、14位という順位は妥当、もしくは少々幸運だったとも捉えられる。今季大きく調子を落としたマンチェスター・Uとトッテナム・ホットスパー、そしてプレミアリーグの洗礼を浴び降格していった昇格組の3チームに助けられた上での順位という厳しい見方もできる。
不調の原因としては先述の「個人頼みの攻撃」が大きい。後ろに重心を置いたカウンター主体のスタイルでフィニッシャーの役割を任せられる選手は限られ、対戦相手にとって守備の的を絞りやすい状況は1年を通して改善されなかった。そんな中でも14ゴールを挙げたボーウェンは、文字通り大黒柱としてチームをけん引するクオリティを示した。一方でクドゥスも随所に存在感を見せたものの5ゴールという数字は彼の実力を考えれば少し物足りないだろう。
この問題の根本には、センターフォワードの不発がある。大きな期待を背負ってドルトムントから加入したニコラス・フュルクルクはわずか3ゴールの成績に終わり、ブライトンから獲得したワンダーボーイ、エヴァン・ファーガソンはシーズン途中での加入とはいえまさかのノーゴール。昨シーズンまで肉体派のプレースタイルで存在感を見せていたマイケル・アントニオがピッチ外の事故でシーズンの半分以上を棒に振ったことは不運だったが、それでもダニー・イングスを含む4人のFWの合計得点がわずか「5」だった事実は重く受け止められるべきだ。
新シーズンに向けて明確な改善点の見えたウェストハム。ヨーロッパを目指せる実力はあるだけに、依存先を減らしたチーム作りに期待したい。
エヴァートンのスタイルは明快だ。堅守を一番の強みに失点を抑え、引き分けや1点差での勝利で勝ち点を積み上げる。決して華があるとは言えないフットボールだが、それでも強豪ひしめくプレミアリーグにおいて、自分たちのできることを徹底する割り切ったスタイルは一定の成果を挙げてきた。
最悪の事態も頭をよぎるほどの開幕序盤の絶不調。FAカップ決勝でマンチェスター・Cを下して手にした初の主要タイトル。クリスタル・パレスの24-25シーズンは話題に事欠かないイベントフルな1年だった。
22-23シーズンの昇格以来、プレミアリーグに定着し中堅クラブの代表格となったフラム。今季も15勝9分14敗、54得点54失点の得失点差「0」という成績で、11位でシーズンを終えた。
戦術や数字を見れば、監督を含めた絶対的な個の存在に依存してきたブレントフォード。夏の移籍期間の間にチームを再編成し、万全の状態で新シーズンに臨むことができるか。