元検事のナ・ムニョンは、弁護士で夫のチャ・ソンジェとともに、チャウン法律事務所の代表弁護士を務めている。かわいい一人娘ボムとともに、家族3人幸せな生活を送っていた。
ある夜、ムニョンは親友のシンファと一緒にバーでお酒を飲みながら会話を楽しんでいた。親友と一緒ということもあり、酔いがまわりやすかったのか、ムニョンは泥酔。目を覚ますと、自宅のベッドの上だった。慌てて体を起こしてリビングに向かうと、ソンジェとボムが忙しそうに朝の支度をしている。自分がどうやって帰ってきたのかや、ソンジェの手にケガがあること、車が砂埃を被っていることなどが少し気になりつつも、「裁判に遅刻したら大変!」と、慌てる夫を見送るムニョン。そんな彼女に、ソンジェは優しく声をかけて出勤していくのだった。
その数時間後、法律事務所からムニョンのもとに1本の電話が。ソンジェが姿を見せないというのだ。クライアントを待たせているからと、代役として大慌てで駆け付けたムニョンだが、その依頼人である女性キム・ユンソンと、金信物産のマ部長、証人のト・ジヌの間には異様な空気が立ち込めている。
数日が経っても連絡ひとつよこさないソンジェを想い、不安な日々を過ごすムニョン。さらに追い打ちをかけるように、事務所が荒らされたり、依頼人のユンソンが自宅前に現れたり、ムニョンの身の回りでは不可解なことがいくつも起こっていた。そんな中、警察から事故現場でソンジェの身分証明書が見つかったとの連絡が入り…。
夫の失踪にまつわる秘密を追う女性を描いた本作の見どころは、なんといっても先の読めない展開。監督を務めたキム・ドンフィは、視聴者の予想を上回るストーリー展開とその流れを維持することを意識して撮影をしたと制作発表会で語っている。
韓国ドラマは物語の動き出しが遅いことも少なくないが、本作は序盤から次々と衝撃展開が押し寄せてくるため、1話目から心を掴まれる人も多いはず。少しずつ新たな真実が明らかになったり、また別の謎が浮かび上がってきたり、エピソードが進むごとに深みが増していく物語に、最後まで目が離せない!
主人公のムニョンは夫の失踪というショッキングな出来事に屈することなく、隠された真実を追い求めようとする女性。
そんなムニョンに扮するのは、『ポジション ~広告代理店の女王~』など多くのドラマで個性的なキャラクターを演じ、作品のヒットに貢献し続ける実力派俳優イ・ボヨン。逞しさの中にある儚さや、落ち着きの中にある不安など、微妙なバランスで必死に現実と対峙する主人公を見事に表現している。
彼女の脇を固めるキャスト陣も、もちろん実力派揃い。先の気になる本作の中で、魅力的なキャラクターたちが見せてくれる細かな感情の機微も見どころだ。
実は『ハイド』は、BBC Walesで歴代最高視聴率を獲得したドラマ『Keeping Faith(原題)』を原作にしている。数々の名作ミステリードラマを生み出してきたイギリスで、2017年から2021年にわたりシーズン3まで続いたということ自体、作品の人気を裏付けているが、そんな人気ミステリードラマを原作にした『ハイド』は、普段あまり韓国ドラマを見ないという人にもおすすめ。
1話60分前後と決して短くはないものの、夢中にさせる展開は英国ミステリー譲り(かも?)。きっと、次のエピソードが待ちきれなくなるはず!
チャウン法律事務所の代表弁護士。元は検事だったが、一人娘ボムの子育てに専念するため職を離れている。幼いころに父親の失踪という辛い出来事を経験し、高校時代には命を絶とうとするが、チャ・ソンジェに支えられて乗り越える。結婚し、子宝にも恵まれる幸せな生活を送っていたが、ソンジェの失踪により一変する。
キャスト:イ・ボヨン
1979年生。2000年、ミス・コリアの大田・忠南代表に選ばれる。その後、韓国の大手化粧品メーカー、アモーレパシフィックのCMに出演して芸能界デビューを果たす。『マイ・ブラザー』や『薯童謠ソドンヨ』で一躍人気女優の仲間入りを果たすと、現在にいたるまでコンスタントにドラマや映画に出演。夫は、同じく人気俳優のチソン。
◆代表作:『ポジション ~広告代理店の女王~』『君の声が聞こえる』『薯童謠〔ソドンヨ〕』
ムニョンの夫。弁護士の父親の跡を継ぎ、ムニョンとともにチャウン法律事務所の代表弁護士を務めている。仕事は多忙を極めるが、家では娘のボムにメロメロで子煩悩なパパ。高校時代、自暴自棄になっていたムニョンに救いの手を差し伸べた人物でもあり、夫婦は深い絆で結ばれているかと思われたが、ある日、なんの前触れもなく姿をくらませる。
キャスト:イ・ムセン
1980年生。2006年の映画『放課後の屋上』で俳優デビュー。その後、数々の映画・ドラマに出演するが、中でも『白い巨塔』『密会』『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』などを手掛けるアン・パンソク監督のドラマ作品に頻繁に登場した。様々なキャラクターに化けるカメレオン俳優。
◆代表作:『39歳』『クリーニングアップ』『夫婦の世界』
失踪前までソンジェが担当するはずだった裁判の、被告側の証人。物心ついたときから孤児院で育ち、暴行致死の前科を持つ。ソンジェの秘密を握る男でもあり、彼が失踪した際には妻のムニョンと同等かそれ以上の執着を見せていた。孤独な一匹狼のようでもあるが、一度心を許した人物に対しては、情に厚い一面も。
キャスト:イ・ミンジェ
2000年生。2016年にドラマ・映画俳優としての活動をスタートさせ、順調にキャリアを重ねる若手俳優。今作では、実力派ベテラン俳優陣に囲まれながらも、重要な役どころを堂々と演じている。また、大人気WEB漫画を原作とした話題のドラマ『弱いヒーロー Class2(仮題)』への出演も決定している。
◆代表作:『オー!ヨンシム-帰ってきた初恋-』『チアアップ』『イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~』
ムニョンとソンジェが住む家の隣人。自宅で料理教室を運営しており、ムニョンもその生徒のひとり。ある高齢者の世話をするほか、ムニョンの代わりにボムのお迎えを引き受けてくれるなど、とにかく親切な女性。定期的に開催されるお茶会では、得意の手作りお菓子をたんまり用意して迎えてくれる。
キャスト:イ・チョンア
1984年生。2002年の映画『リザレクション』で女優デビューを果たす。インターネット小説を原作とした2004年の映画『オオカミの誘惑』で三角関係に揺れるヒロイン役を好演して注目を集める。最近では、Netflixの話題作『セレブリティ』に出演。父親は、俳優のイ・スンチョル。
◆代表作:『セレブリティ』『昼と夜』『VIP -迷路の始まり-』
韓国屈指の大企業である金信物産の部長。ソンジェの失踪後、妻であるムニョンに対して、夫が残した負債の70億ウォンを支払うよう迫る。粗暴な性格で、人を駒のように使い、言うことを聞かせるためなら手段もいとわない。
キャスト:ホン・ソジュン
1968年生。20歳ごろから舞台を中心に演技のキャリアをスタートさせる。1995年には、アルバムを発売して1年間のみ歌手活動をしていたこともある。数々のドラマに出演し、安定感のある演技で脇を固める。日本でも大きな話題を呼んだ大ヒットドラマ『梨泰院クラス』では、長家グループ会長秘書のキム室長役を演じた。
◆代表作:『梨泰院クラス』『あなたに似た人』『今日、妻やめます~偽りの家族~』
タイトル:『ハイド-私の夫の秘密-』
原題:하이드
制作年/制作国:2024年/韓国
ジャンル:ミステリー
血気盛んな男子高校生たちの勢力争いを描いた青春アクションコメディドラマ。見るからに虚弱体質なビョンテが喧嘩番長のフリをし続けるのには無理があり、「流石にもうバレる!」とハラハラするところでミラクルな出来事が発生する、そのめくるめく展開が爆笑モノの作品となっている。
序盤の数話だけでも目まぐるしい展開を見せ、先が全く読めないのも本作の魅力。1話80分というボリュームにもかかわらず、1話があっという間と感じるほど!
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