「最高の雰囲気だった」デイナ・ホワイトが『UFC 318』を総括。ホワイトハウスでのイベント開催については「まだ何も考えていない」
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「最高の雰囲気だった」デイナ・ホワイトが『UFC 318』を総括。ホワイトハウスでのイベント開催については「まだ何も考えていない」

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世界最高峰の総合格闘技(MMA)団体として、世界最高のMMAアスリートが名を連ねるUFC。U-NEXTがライブ配信した2025年7月20日(日本時間)開催の『UFC 318』では、ライト級5位”マックス・ホロウェイ”と、この試合での引退を発表している同級6位の”ダスティン・ポワリエ”がBMFベルトをかけてメインイベントで対戦し、ホロウェイが判定勝ちを収めた。

UFC代表のデイナ・ホワイトは、『UFC 318』をどう総括するのか。試合後会見で自ら語った、振り返りの内容をお届けする。

「シカゴも今日と同じように、熱狂的な雰囲気になる」

ホワイト:どうも皆さん。今夜の観客動員数は18,138人でソールドアウト、入場料収入は809万ドル。このアリーナにおける史上最高の興行収入になったよ。“ファイト・オブ・ザ・ナイト”はマルヴィン・ヴェットーリとブレンダン・アレンの試合だ。“パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト”はイスラム・デュラトフとカーリ・ ジュディス。彼らは全員5万ドルを獲得だ、おめでとう。ヴェットーリの試合とケビン・ホランドの試合もボーナス選考では僅差だったね。

──では、メインイベントからお伺いします。今回もBMFタイトルマッチは期待に応える壮絶な内容でした。二人のファイターがオクタゴンですべてを出し尽くした試合展開と、その内容についてのお考えをお聞かせください。

ホワイト:ああ、信じられないような試合だったね。最終ラウンドに入る時点では、ジャッジが付けたスコアよりも接戦だと個人的には思っていたけど、いずれにせよ、期待通りの試合内容だったよ。

──試合終了間際の残り10秒、マックス・ホロウェイがマットを指さし、壮絶な打ち合いを要求しました。あの一連のシーンをファンとしてご覧になって、「いつかこういうことは、やめさせなければいけない」と感じる部分はありましたか?

ホワイト:いや、まったくないね。「最高じゃないか!」という心境だったよ(笑)。実は試合前に、俺のチームとその話をしていたんだ。誰もがマックスのような振る舞いをしたいと思っているように見せかけるが、本心ではやりたくないものさ。けれど、マックスは心からああいうことをやりたいと思っている。おそらく唯一の選手だね。それこそが、人々が彼を愛する理由の一つだと思う。

──今夜のダスティン・ポワリエのパフォーマンスについてお伺いします。彼は世界最高峰の選手と互角に渡り合いましたが、終盤にかけてやや失速した印象もありました。彼の引退は正しい選択だったとお考えですか?それとも、まだトップ戦線で戦い、勝利できるポテンシャルがあったと思われますか?

ホワイト:それは今週、俺がずっと言い続けてきたことだ。彼らは二人とも、このスポーツで最も過酷と言える階級で5位と6位にランクされている。 いずれにせよ、選手自身が「引退すべきだ」と考えたのなら、おそらくそれが正しい時なんだろう。

──勝者となったマックス・ホロウェイですが、彼は非常に興味深い立場にいます。タイトル戦線に戻るためには、より一層の努力が必要になるのでしょうか?それとも、今回のようなパフォーマンスによって、一気にその地位まで駆け上がったとお考えですか?

ホワイト:彼は今、絶好のポジションにいると思う。BMFタイトルを防衛し、今のマックスにはあらゆる可能性が開かれていると思うよ。

──ケビン・ホランド対ダニエル・ロドリゲスの試合はいかがでしたか?クレイジーで、やや荒削りな部分もありましたが、非常にエンターテイニングな一戦でした。

ホワイト:ああ、素晴らしい試合だったと思う。荒削りだったかどうかはわからないが、あの二人はまさしく“戦争”をしていた。何度か両者ともに疲労困憊しているように見えたけど、そこから奮起して、必死に戦い抜いたんだ。信じられないほどの試合だったね。彼らはボーナスこそ獲得できなかったけど、二人とも今後素晴らしいキャリアを歩むことになるはずさ。

──今週のニューオーリンズ大会は、街全体がUFCを歓迎しているような素晴らしい雰囲気でした。マイアミやニューアークのように、毎年恒例の開催地になる可能性はありますか?

ホワイト:そう思うね。この街は信じられないほど素晴らしい。ずいぶん長い間、ここには来ていなかったんだ。この前バーボンストリートへ行こうとしたんだけど、俺が最後にあの通りを歩いたのは、フランクとロレンゾ・フェティータ兄弟と共に、UFCの買収を検討するために観戦に来て以来だったんだ。ここに来るまでその事実に気づかなかったよ。州知事は素晴らしく、アスレチック・コミッションも信じられないほど協力的だったね。

そして、この街の人々が地元をサポートする姿勢は、見ていて最高の気分になる。俺はそういったことが大好きなんだ。ニューオーリンズにはもっと頻繁に戻って来られるよう、何らかの方法を考えたいと思っているよ。

──ダスティン・ポワリエについて改めてお伺いします。彼は将来、間違いなくUFCホール・オブ・フェイム(殿堂)入りを果たす選手ですよね?

ホワイト:ああ。彼の過去の対戦相手の顔ぶれを見れば一目瞭然だろう。常に戦うためにオクタゴンに上がり、ビジネスパートナーとしても付き合いやすい素晴らしい人物だ。その可能性は十分にあるさ。

──先ほど「引退すべきだと思ったら、それがその時だ」とおっしゃいましたが、彼の引退理由、例えば「スポーツにキャリアを終わらせられるのではなく、自分の意志で去りたい」「将来、娘の結婚式に健康な体で出席したい」といった考えには、敬意を表することができますか?

ホワイト:選手が引退したいと言った時、俺がその決断を疑うことは決してない。過去に俺が「まだその時ではないのでは?」と言ったことがあるのは、ハビブ・ヌルマゴメドフとダニエル・コーミエの二人だけさ。 

これは完全にダスティン自身の決断だよ。格闘技は過酷なスポーツだから。彼は今夜、非常にタフな試合を戦い抜いた。今夜の結末を見ると、引退は正しい選択のように思えるね。

──次の『UFC 319』では、ドリカス・デュ・プレシとハムザト・チマエフによるミドル級タイトルマッチが控えています。この一戦は同階級にとって、どれほど大きな意味を持つとお考えですか?

ホワイト:非常に大きな一戦だね。そして俺たちがシカゴに戻ってきて、チケットが完売したことも大きい。楽しい試合になるだろう。今夜の大会と、非常によく似た雰囲気になる予感がするんだ。

今夜、たしか第2ラウンドだったと思うけど、歓声が大きすぎてレフェリーにラウンド終了のゴングが聞こえなかった場面があった。5秒ほど試合が長引いただろう?シカゴも同じように、熱狂的な雰囲気になるだろうと期待しているよ。

デイナ・ホワイト 1

──以前から話題に上がっているホワイトハウスでの大会について、コナー・マクレガーが1年後の同大会での復帰を目指して薬物検査プールに戻ったと発言し、ネイト・ディアスがその対戦相手に名乗りを上げています。以前、このトリロジーマッチはいつでも理にかなうと発言されていましたが、ネイト・ディアスと再びビジネスをすることに興味はありますか?

ホワイト:俺はネイトのことが大好きなんだ。だけど、その試合は1年も先の話だ。だから、今は何も考えていない。 来年の7月4日(アメリカ独立記念日)までには、状況は大きく変わっているさ。誰がカードに名を連ねるのか、メインイベントは何になるのか、誰がどのタイトルを保持しているのか、すべてがまったく違うものになっている可能性がある。 だから、今それを考える価値すらないんだ。

──ジョン・ジョーンズも同大会への出場を望んでおり、「その時のチャンピオンが誰であれ戦う」と発言しています。しかし、彼が復帰して再び王座を獲得し、過去にあったような問題が再発するリスクをどうお考えですか?

ホワイト:問題は彼がベルトを獲るかどうかじゃない。俺が彼についてどう感じているか、みんなも知っているだろう?大きな舞台、重要なポジションに彼を起用して、何か問題が起こるというリスクを俺は負えない。特にホワイトハウスでの大会となれば、なおさらだよ。

──ホワイトハウス大会の設営についてですが、そのロジスティクスはラスベガスに新設された“スフィア”での開催よりも大変なものになると予想されますか?

ホワイト:そんなことはない。俺たちがやった後、スフィアにみんなが飛びつくと思っていたけど、実際は誰も続かなかった。それほど難しい会場なんだよ。 

ホワイトハウスの場合、彼らが芝生の上に非常に重いものを設置した経験がこれまでない点は、気になるかもしれない。オクタゴンだけでも2万ポンド(約9トン)の重量があるからね。 屋外であることも、それなりの難しさをもたらすかもしれない。でも、スフィアほどではないね。スフィアは本当にユニークで、極めて挑戦的な会場なんだ。

「感情的にならないほうが、難しかったと思う」

──今夜勝利したイスラム・デュラトフはドイツで絶大な人気を誇ります。UFCは2016年以来ドイツで大会を開催していませんが、彼のパフォーマンスをどう評価されますか?また、ドイツ大会の開催はいつ頃になりますか?

ホワイト:彼はパフォーマンスボーナスを獲得したことからもわかる通り、今夜は素晴らしい活躍だった。 ドイツは興味深い市場さ。指摘の通り、かつては頻繁にドイツへ向かっていた時期もあったよ。その質問に対する明確な答えは、今のところ持ち合わせていないね。

──ダスティン・ポワリエとマックス・ホロウェイは、二人合わせてUFCで60戦以上も戦ってきました。彼らのような選手と共に団体が成長し、彼らがここまで歩んできた道のりを見ると、誇りに感じますか?

ホワイト:ああ、もちろんさ。だからこそみんなも、そして俺自身も、彼らをリスペクトしているんだ。今夜の放送で我々が彼をどう祝福したか、みんな見ただろう?マーク・ザッカーバーグでさえ、今夜のダスティン・ポワリエの物語について投稿していた。我々はダスティンに多大な敬意を払っており、彼を誇りに思っている。それはマックスに対しても同じさ。

──彼が引退を発表したことによる精神的な影響は、試合内容にあらわれたと思われますか?

ホワイト:それは彼自身に聞いてもらうしかない。 けれど、彼にとって感情的にならずにいるのは非常に難しかっただろうね。人生最後の試合でトンネルから歩いて登場し、良いパフォーマンスをしたラウンドの終わりに受ける歓迎ぶり。会場はあまりにうるさくて、レフェリーにはゴングさえ聞こえない。 そんな状況を味わったからこそ、この世界から離れるのはものすごく辛いことだろう。きっと非常に感情的だったと思うし、おそらく来週いっぱい、その感情は続くだろうね。

──もし、ポワリエと同じように尊敬する別のファイターが「故郷で引退試合がしたい」と申し出た場合、今回のように実現に向けて努力しますか?

ホワイト:ああ、俺たちはいつも努力している。這い上がってきて、故郷で戦いたいという選手もいれば、ビッグになって故郷で戦うことにはまったく関心がない選手もいる。色々な感情があるんだ。でも選手が望むなら、俺たちはいつも何か良い方法を見つけようと努力している。ただもちろん、どんな選手でも常に可能というわけではないんだ。

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