2021年、ドラマ『ヴィンチェンツォ』でチョン・ヨビンを好きになった筆者は、同時期に配信開始となった映画『楽園の夜』も当然視聴した。もう1人の主演は、逃亡中のヤクザの男を演じたオム・テグ。聞いたことのないカサッカサの声に驚いたのを覚えている。それが私とオム・テグの最初の出会いだった。
その後もカメオ出演で見かけることはあったが、メインキャストの作品を観るまでは追っていなかった……数週間前までは。『楽園の夜』のような裏社会キャラで、ラブコメ『遊んでくれる女』に出演することが決まり、急激に気になり始めたのだ。
さて、オム・テグの出演作品リストを調べてみるとけっこう多い。これは一体どこから手をつければいいものか?そこでふと頭をよぎったのが、以前X上で見かけたオム・テグのサポートアカウント「TaeGoo JP」である。わからないことは詳しい人に聞くに限る。ということで今回、同アカウントの運営者に、オム・テグ初級者におすすめの作品を教えていただいた。
1920年代の日本統治時代。朝鮮人でありながら日本の警察に所属するジョンチュル(ソン・ガンホ)は、特命を受けて義烈団のリーダー、ウジン(コン・ユ)に接近する。一緒に動くことになった冷酷な男ハシモト(オム・テグ)の目が光る中、ジョンチュルは密かに義烈団側へと転じていく。義烈団と日本警察の情報戦が展開する中、義烈団は大量の爆弾を京城に持ち込む計画を進めていた。
このオム・テグさんは特段カリスマがあり、黙っていても怖い役柄でしたね。映画を観終わって劇場から出てくると、観客が口を揃えて「ハシモト怖かったー」と言っていたほどで、すごい迫力がありました。
部下を手袋で何十回もビンタするシーンが有名ですが、その撮影後、オム・テグさんが部下役を演じたチョン・ドウォンさんに何度も謝り、それでも足りずに後日改めて謝罪に行ったほどだったそうです。その話を知り、役柄と実際とのギャップに、「そういうところがやっぱりオム・テグだなあ」と、さらに好きになりました。
ダム建設により水没予定地となったウォルチュ里に、大学教授を名乗るギョンソク(チョン・ホジン)が現れ、住民たちの悩みを次々と解決。住民たちは、次の教会建設地を探しているというギョンソクを受け入れる。教会が建ち、牧師チョルウ(キム・ヨンミン)の赴任後に奇跡も起こり、信仰心を高めていく住民たち。だが、出所したばかりのトラブルメーカー、ミンチョル(オム・テグ)はギョンソクの正体を怪しみ、調査を始めていく。
この作品はとにかくストーリーが面白いし、キャスティングも素晴らしいです。カルトを扱っているので軽く見られるドラマではありませんが、予測のつかない展開に目が離せませんでした。
オム・テグさん演じるミンチョルが、荒くれ者なのに実は一番正義感が強く、ウォルチュ里で起きている事件を追っていく、という設定で、本来は近づきたくない人物なのに、見ているうちにきっとミンチョルを応援したくなるはずです。
また、ミンチョルの役柄そのものの顔つきで、俳優としてのオム・テグさんの格別な凄味を感じました。チョン・ホジンさんとキム・ヨンミンさんもすごく良かったです。『遊んでくれる彼女』のハン・ソナさんも町の喫茶店のマダム役として出演していて、2人の全く違う姿も楽しめると思います。この作品、隠れた名作だと思います。大好きです。
将来有望だったボクサーのビョング(オム・テグ)はある事件をきっかけに夢を断念し、ジムの館長(キム・ヒウォン)の計らいで雑用をこなしながら日々を過ごしていた。そんな中、ダイエット目的でジムに新規入会したミンジ(イ・ヘリ)と出会う。コーチと生徒として接するうちにミンジに心を開いていったビョングは、伝統民族芸能パンソリとボクシングを融合させた“パンソリ・ボクサー”として復帰する夢を打ち明ける。
「第7回 野の花映画賞」でオム・テグさん男優主演賞、そして音楽賞を受賞した作品です。オム・テグさんご本人の素に近い面やかわいらしい部分もあるキャラクターで、ボクシング姿も格好良いのです。
Girl’s Dayのイ・ヘリさんの出演も魅力で、2人のほのぼのとした姿を見ることができます。オリジナルで書き下ろしたという(主人公の状況を説明する)軽快で情緒あるパンソリの楽曲も印象に残ります。原作の短編映画『デンプシー・ロール:懺悔録』の長編化、しかもオム・テグさんが主演なのでとても期待していた作品です。
1980年。タクシー運転手マンソプ(ソン・ガンホ)は「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という言葉に釣られ、ドイツ人記者ピーター(トーマス・クレッチマン)を乗せて光州を目指す。しかしその頃、光州は激しい民主化デモの発生により、軍が民衆を制圧する危険地帯に。マンソプは1人で留守番をさせている娘が気がかりだが、ピーターは何が起きているかを世界に伝えるべく、撮影に挑み続ける。
『密偵』で共演したソン・ガンホさんが、チャン・フン監督にオム・テグさんを推薦して出演が実現したのが本作です。見た目は厳しそうだが心ある中士、という役どころで、僅か3分ほどの出演だったのですが、誰もが息を呑む緊迫したシーンでのオム・テグさんの登場はとても印象的でした。
サポート参加者の中でも、“オム・テグおすすめベスト5”に挙げた方が多かったです。ちなみにオム・テグさんは他でも監督や共演者に気に入られていて、カメオ出演もいくつかあります。また、商業映画にも出演するのに、独立映画(ミニシアター系などの作品)にも出演し続けています。主演となると出演作をある程度選んでいるとは思いますが、人との関係を大切に、出演シーンが少なくても色々な作品に出ているところもいいなと思います。
別の組からの勧誘を断ったヤクザのテグ(オム・テグ)は、それにより姉と姪を殺されてしまい、報復を行なう。追われる身となったテグは、済州島へ逃亡。組長が用意した滞在先は、武器商人クト(イ・ギヨン)とその姪ジェヨン(チョン・ヨビン)の家だった。初めは「そっち方面の人とは関わりたくない」と言っていたジェヨンだが、死刑宣告を突き付けられているテグと、余命末期患者のジェヨンは、いつしか心を通わせるように。しかし、その平穏な時間はあまりにも短かった。
ずっと公開を待っている中、ある日とつぜん、「ヴェネツィア国際映画祭」の非コンペティション作品として選ばれたということでポスターが公開されたんです。オム・テグさんの寂しそうな背中が写ったステキなポスターで、とても嬉しかったのを覚えています。
コロナ禍で劇場公開が叶わずに配信という形で公開された作品のひとつですが、そのおかげで日本でもオム・テグさんの知名度が上がり、ファンが増えるきっかけになりました。サポート参加者の中には、この『楽園の夜』でオム・テグさんを知ったり、好きになったり、という方が半数以上いらっしゃいました。
はじめてオム・テグさんを見た人が、「この声は一体何だ?一見、粗野に見えるのに格好いい!」と、新たな発見をしたようでした。また、「この俳優は誰だ?」と調べたところ、オム・テグさんが役名の「テグ」と同名だったことにも親近感を覚えたようです。
ソン・ドンイル(『応答せよ』シリーズなど)、キム・ヒウォン(『ムービング』など)、ヨ・ジング(『ホテル・デルーナ』など)が、車輪のついた家=トレーラーハウスで、韓国全土を巡るリアリティ旅番組。彼らと交流のあるゲストを招き、一緒に食事や会話も楽しんでいく。
オム・テグさんのバラエティデビューがこの番組です。『私のボクサー』で共演し、カフェ友だちでもある先輩キム・ヒウォンさんのゲストとして呼ばれたのですが、他の出演者たちが座る場所や食べ物を用意していく中、あまりにもおとなしいオム・テグさんは喋ることも少なく、何を手伝えばいいのかとオロオロしている状態でした。
言葉遣いも笑ってしまうぐらい丁寧で、「強面で近づきにくい雰囲気なのに、実際はこんなにかわいい人だったんだ」ということが公となって、韓国では検索ワードで1位になるなど、人気に火が点きました。
サポート参加者がオム・テグさんのファンになった理由として一番多かったのも、役柄と実際とのギャップでした。『車輪のついた家』は彼の素の魅力がとてもよくわかる番組だと思いますので、『遊んでくれる彼女』でオム・テグさんをかわいいと思った方にはぜひ観ていただきたい番組です。
取材協力:オム・テグ サポーター「TaeGoo JP」X / Instagram
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『遊んでくれる彼女』の視聴はこちらから
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