元女子ボクシング王者の非正規教師のヒロインが、教師も手を出せない学園最凶の生徒に立ち向かっていく、韓国の同名人気WEB漫画を原作にした痛快アクションコメディ映画『勇敢な市民』が1月17日(金)からついに日本公開される。
主演は、『哲仁王后~俺がクイーン!?~』『サムダルリへようこそ』や、『私のヘリへ ~惹かれゆく愛の扉〜』など人気作品には欠かせないシン・ヘソン。正規雇用を勝ち取るため、事なかれ主義で猫をかぶっているが、学園内にはびこる悪事に耐えきれず、正体を隠して戦う女性教師ソ・シミン役で、本格的なアクションにも初挑戦する。そんな彼女を相手に、学園を支配する“巨悪”生徒ハン・スガンを演じるのがイ・ジュニョン。アイドルグループU-KISS出身ながら、『D.P. -脱走兵追跡官-』『マスクガール』でも悪役を演じてきたが、本作のスガン役では、これまでにない悪役に挑み驚かせている。そんな彼に、悪役を演じることの魅力や意気込み、撮影の裏話などを聞いた。
──まず、今回の『勇敢な市民』は人気WEB漫画が原作ですが、演じられる役どころは学園の支配者という悪役ですね。
イ・ジュニョン:本当に悪い人間で、台本を読んだときに個人的にも怖いし卑劣だと思いました。でも、そんなキャラクターを演じ切れたら、俳優としてとてもいい挑戦になると思い、取り組んでみようと思いました。
──これまでも悪役を演じていますが、今回のハン・スガンは親の権力をバックにして教師ですら恐れてしまうほどの凶悪で残虐な生徒です。見ていて、ゾッとするシーンも多々ありましたが、演じるに当たって、どこにポイントを置いたのですか?
イ・ジュニョン:歩いているだけでも手の付けられない悪(ワル)という雰囲気が伝わるようにしたいと思いました。そこで、冷酷な目つきをするために、寝る前に30分ほど鏡を見て目に力を入れてワルそうな表情を作ってみたり。撮影前にヘビメタやひどい言葉がたくさん出てくるラップを聞きながら、「俺は強い男なんだ」と意識して歩いてみたり。そうすると、僕の姿を見てみんなが避けていくんです(笑)。シメシメ怖がってるんだな、これならと成功だと思いました。
──悪役を演じるのも大変ですね。
イ・ジュニョン:そうなんです。しかも、監督からは「まだ喋り方が優しいから、もっとキツい調子でしゃべってほしい」と言われて、撮影の合間も共演しているみんなや、スタッフさんたち相手にすごんだ感じでしゃべったり。演じるときはいつも監督が傍にいて、目つきのチェックをして下さったり。監督からのフォローもあって、演じるときは集中することができました。
──同級生をイジメるときに、スガンは蛇のように舌を動かします。あれはジュニョンさんのアイデアだと聞きました。
イ・ジュニョン:蛇って縁起も悪いし、狡猾な動物というイメージがありますよね。だから、これを使ってみたら面白いし、よりスガンの凶悪さを際立たせることができるんじゃないかと思って。コンビニのシーンで窓に顔を描くのも、僕のアイデアです。
──今回、本格的なアクションシーンも多く見どころ満載ですが、ジュニョンさんは99%ご自分でアクションをこなしているそうですね。
イ・ジュニョン:はい。代役なしで僕自身がアクションをこなすことで、その瞬間瞬間のスガンの表情を見せることができる。そうすることで観客のみなさんを、映画に集中させ没入させることができると思ったんです。そのために、3-4カ月ぐらいトレーニングを積んで入念な準備をしました。
──主人公ソ・シミンを演じたシン・ヘソンさんとの共演も話題になっています。どんな女優さんだと感じましたか?
イ・ジュニョン:ヘソンさんは本当に一生懸命な方なんです。とても華奢な方ですが、彼女のエネルギーに負けないようにと、毎回集中して現場に入りました。あるシーンでスガンがシミンに殴られるんですが、本当に痛かった(笑)。思ったよりもパワフルなんだなと。
──学園ものに出演されて、周囲には若いエキストラの方たちがいると、ご自分の学生時代を思い出すようなことはありませんでしたか?
イ・ジュニョン:僕は高校生の途中で仕事のために辞めたので、あまりその頃の記憶がないんです。でも、学校での撮影のおかげで自分が高校生になった気分になりました。本当に毎日、高校に通っているような気持ちになり楽しかったです。
──では、実際に通われていた頃はどんな生徒だったのですか?
イ・ジュニョン:本当に静かでおとなしい生徒でした。目立つのが本当にイヤだった。他の人たちが僕のことを気にするのが嫌だったので、部活動みたいなことも何もしていませんでしたね。
──ちょっとお伺いしたいのですが、ジュニョンさんはどんなタイプの方ですか?
イ・ジュニョン:僕は一人でいるのが好きなんです。何をするにも一人が一番。たとえば、散歩が好きですが、人の多いところは避けますね。雰囲気のいいカフェに一人で行って本を読んで過ごしたり、ドライブも一人です。
──“ぼっち”が好きなんですね。
イ・ジュニョン:はい、そうです(笑)。
──ところで、本作は韓国ではすでに公開されていますが、どんな反応を得ていますか?
イ・ジュニョン:普通に歩いていたときに、学生さんが僕に気づいて、「あ、悪い奴だ」って言ったんですよ、それもタメ口で(笑)。そう言われるということは、演技としては成功だと思ったんですけど、もう、これからは悪役はやらない方がいいかなと思いました。
──今後、やってみたい作品、共演したい俳優さんや監督さんは?
イ・ジュニョン:そうですね。シン・ヘソンさんとは違うジャンルの作品でまたご一緒したいですね。そして、今回のパク・ジンピョ監督とも。
──ジンピョ監督は、24年パク・シネ主演の『悪魔なカノジョ』をヒットさせてもいますね。
イ・ジュニョン:監督は俳優のことをちゃんと信じてくれる方なんです。たとえば、「このシーンでこういう雰囲気が必要だけれども、君がキツい思いをするならちゃんと言ってほしいし、もし試してみたい表現があるなら、それをやってみせてくれないか」と聞いてくれる。おかげで、僕もいろんなことを提案し挑戦することができる現場でした。ジンピョ監督とはまたやりたいし。もともと監督はロマンスコメディもすごい方なので、ぜひ僕を使ってほしいですね(笑)。
──ジョニョンさんは日本の俳優で興味のある方はいますか?
イ・ジュニョン:小栗旬さんですね。僕が初めて見た日本のドラマは小栗さんが出演していて、とても男らしいなと感じました。お芝居も上手でカッコいい。憧れますね。
──最後に、『勇敢な市民』を楽しみにしている日本のみなさんにメッセージをいただけますか?
イ・ジュニョン:僕が演じるスガンの悪役演技に注目しながら、シン・ヘソンさん演じるソ・シミンが弱者のために立ち向かっていく姿を見ると、きっとスッキリ爽快な気分を味わえると思います。劇場でぜひ楽しんでください。
(プロフィール)
イ・ジュニョン
1997年1月22日生まれ。2014年、U-KISSのメンバーとしてデビューする。17年にドラマ『甘くない女たち~付岩洞<プアムドン>の復讐者~』で演技活動開始。以降 『潜入弁護人〜Class of Lies〜』(19)、『恋のプログラミング〜ダメ男の見分け方〜』(20)、『イミテーション』、『君の夜になってあげる』(21)、『百人力執事〜願い、かなえます〜』(22)、『私は堂々とシンデレラを夢見る』(23)などに次々出演。『D.P.―脱走兵追跡官―』(21)や『マスクガール』(23)での悪役演技が注目を集めている。24年10月には、日本で来日イベント開催した。
1月17日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
原作:キム・ジョンヒョン「勇敢な市民」
監督:パク・ジンピョ
出演:シン・ヘソン、イ・ジュニョン、パク・ジョンウ、パク・ヒョックォン、チャ・チョンファ
2023年/韓国/112分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:용감한 시민/英題:Brave Citizen/
『勇敢な市民』シン・ヘソンさんのインタビュー記事はこちら
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