レスター・シティの生ける伝説、ジェイミー・ヴァーディ。ノンリーグからのサクセスストーリーで知られる彼は37歳になった今も第一線で輝き続けています。その秘訣は何なのか。再びプレミアリーグに昇格したレスターの新シーズンを前に、変わらぬハングリー精神を持ち続ける男の素顔に迫りました。
「自信はもちろん必要です。チャンピオンシップからプレミアリーグへのギャップは、おそらく最も大きなものだとわかっていました」
レスター・シティは昨シーズン、わずか1年でチャンピオンシップからプレミアリーグに返り咲きました。しかし再び待ち受けるのは厳しい残留争い。ヴァーディは冷静に現状を分析します。
「大切なのは、勝利を得る方法を見つけることです。勝ち点を積み重ねて安全圏を確保していく——それだけです」
淡々と語るその言葉からは、数々の戦いを経験してきた男の確かな自信が感じられます。2015-16シーズンの奇跡のプレミアリーグ制覇、2021年のFAカップ優勝——数々の栄光を経験したヴァーディですが、昇格後の戦いに向けて闘志を燃やしています。
キャリアの晩年に差し掛かりつつあるヴァーディですが、その爆発的なスピードと鋭い動きはほとんど衰えを見せていません。37歳になった今も第一線で活躍できる秘訣を尋ねると、シンプルながらも含蓄のある答えが返ってきました。
「自分をケアすることです。正しい回復方法を確実に行い、家でも追加の回復プログラムをこなしています」
そして、最も重要なのはメンタルな部分だと彼は続けます。
「やはり一番大切なのは、パフォーマンスへの貪欲さ、自分の最高の姿を見せたいという欲求を持ち続けることです。それがなければ意味がないでしょう」
その言葉には説得力があります。ノンリーグからプレミアリーグのトップストライカーへと駆け上がり、数々の栄光を手にしても、ヴァーディの貪欲さは少しも衰えていないのです。
ヴァーディといえば、試合前の独特な"食習慣"も有名です。レッドブルとハム&チーズオムレツ——彼のルーティンは今も続いているのでしょうか?
「正直に言うと、オムレツはいつもメニューに用意されていますよ。タンパク質が豊富で完璧な食事ですからね」と笑いながら答えるヴァーディ。「でもレッドブルにはそういったものはおそらくないでしょう。ただ、何年もうまくいってきたものを変えようとは思いません」
冷静に見えて実はかなり強いこだわりを持つヴァーディの一面が垣間見える瞬間です。彼のキャリアを支えているのは、才能だけでなく、自分自身のリズムや調整法を見つけ、それを頑なに守り続ける姿勢なのかもしれません。
キャリアを通じて様々な選手とコンビを組んできたヴァーディ。もし世界中の選手から自由にストライキングパートナーを選べるとしたら誰を選ぶか尋ねると、少し考えた後にこう答えました。
「マドリードのモドリッチを選びます。彼はミッドフィールドでもいいですよ」と前置きしながら、「彼のキャリアでの功績、そして今も続けていることを見れば、それは恐ろしいことです。彼と一緒にプレーできれば間違いなく財産になるでしょう」
現役最高の中盤の魔術師と組みたいと願うヴァーディ。その選択からは、彼のサッカーに対する洞察の深さと、常に最高を目指す姿勢が伺えます。
数々のゴールを決めてきたヴァーディに、自分自身を最も表現していると思うゴールを尋ねました。
「おそらくリーグ残留を決めたシーズンのアウェイでのウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン戦でのゴールでしょう」と即答します。「あのゴールは私の粘り強さを示しています。ボールを奪い取り、ゴールを決めて、それからファンと一緒に完全に熱狂して喜びました」
ヴァーディらしさが詰まったこのゴール。強いプレッシングからボールを奪い、冷静なフィニッシュを決め、そして抑制のない感情表現——これこそがヴァーディというプレーヤーの本質を表しているのでしょう。
プロフェッショナルとしてのキャリアの多くをプレミアリーグで過ごしてきたヴァーディですが、彼の原点はノンリーグにあります。そのルーツについて尋ねると、彼の表情が少し引き締まりました。
「ノンリーグでは週に5日フルタイムで働いて、火曜と木曜の夜にトレーニングし、土曜に試合に出ていました。4週間分の労働を終えた後にプレーするのは、本当に体力を消耗しました」
そして彼はノンリーグの選手たちへこうメッセージを送ります。
「決して諦めないこと。いつでもスカウトが試合を見ている可能性があります。ただ一回、最高のパフォーマンスを見せれば、フルタイムのプレーヤーになるチャンスをつかめるかもしれません」
自らの経験から語られるこの言葉には、特別な重みがあります。どこまでも上を目指す姿勢こそが、ヴァーディを今日の位置まで押し上げたのです。
2015-16シーズンに「リーズのミラクル」でプレミアリーグ優勝を成し遂げた際、クラウディオ・ラニエリ監督の「ピザパーティ」や「ドゥリー・ドゥリー」といった独特のフレーズが話題になりました。そんな監督の"名言"について尋ねると、意外な答えが返ってきました。
「実は、そういう特定のフレーズを持つ監督は今までいなかったんですよ」と笑います。「どの監督も自分なりの仕事のやり方を持っています。大切なのは、彼らの求めるものや仕事の仕方を理解し、全力で取り組むことです。そうすれば成功が生まれるんです」
現在のレスターはスティーブ・クーパー監督の下で新シーズンに臨みます。ヴァーディは監督との関係は良好だと語りました。
「とても良い関係です。彼はまだ就任して間もないので、彼のプレースタイルをチームに浸透させているところです。それが形になって、プレミアリーグでの地位を確保するために必要なポイントを獲得できることを願っています」
レスターの歴史に深く名を刻んだヴァーディ。もし将来クラブに博物館ができるとしたら、何を展示してほしいか尋ねると、照れくさそうにこう答えました。
「何もないですよ。全部家に置いてあります」と笑ったあと、「クリスタル・パレスでのイーグル(鷲)のセレブレーションは確実に入れるべきでしょうね。ただし、そうなると銅像も大きくしないといけませんが」
自分のレガシーについて語ることを少し恥ずかしく感じているようですが、それでも彼がレスター・シティというクラブにとってどれほど重要な存在であるかは明らかです。そして最後に、残りのキャリアで達成したいことを尋ねると、個人的な栄誉ではなくチームの目標を挙げました。
「一番大きな目標は、間違いなくレスターが今年プレミアリーグに残留することですね」
シンプルな言葉の中に、クラブへの深い愛情と責任感が感じられます。ノンリーグからの長い旅を経て、今やプレミアリーグの生ける伝説となったジェイミー・ヴァーディ。彼の物語はまだまだ続いていくのです。
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