山王耕造（佐藤浩市）が馬主を務めるロイヤルホープが、「日本ダービー」で出走することが決まった。G1という晴れの舞台で輝くことができるのか。その一方で、耕造の隠し子が週刊誌で報道され、ロイヤルヒューマンをはじめとした周囲は大騒ぎとなる。

耕造の隠し子・中条耕一（Snow Man・目黒蓮）とは、一体どんな人物なのだろうか。『ザ・ロイヤルファミリー』第5話を振り返る。

※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。

ホステスをしていた中条美紀子（中嶋朋子）と耕造の間に生まれた耕一は現在大学生で、父親が誰なのか、知らされぬまま生きてきた。母親が入院している病院には定期的に通っており、常に優しい言葉をかけているのが印象的だ。美紀子の前で柔らかいオーラを放っているだけでなく、バスで泣きだした赤ちゃんを舌出しであやし、笑みをこぼす姿から見ても「いい人」なのだろう、と分かる。そんな彼があんな表情を見せるなんて……。

約1年前、美紀子が病気になったと知った耕造は、病院を探し出して約20年ぶりに彼女と再会。そこで初めて息子の存在を知らされた。

隠し子騒動のなかで美紀子と出会った栗須栄治（妻夫木聡）は、その後も彼女と交流を持つ。そんななか、相馬眼のある美紀子が選んだロイヤルハピネスの子・ホープが、日本ダービーで出走すると伝えた。

日本ダービー当日は、大学で競馬研究会なるサークルに入っている耕一もラジオで応援。そばには美紀子もいた。耕一の本命は椎名善弘（沢村一樹）の馬・ヴァルシャーレだが、推し馬はホープだという。なんて運命的なのだろう。将来、彼がロイヤルヒューマンに入社し、母親譲りの相馬眼で活躍するに違いない！と妄想が頭をよぎったが、現実は違った。惜しくもヴァルシャーレに負けてホープが2位になったあと、美紀子は「耕一に話しておきたいことがあるの」と切り出す。

その後、美紀子はこの世を去った。葬儀の日、生前の彼女との約束もあって、耕造と耕一が初対面。栗須が間に立った。耕造は息子に「1年前まで何も知らなかった。悪かった」と謝罪しつつ、今後のことは栗須がすべて取り計らうので、困ったことがあったら相談してほしい、と伝えた。さらに大金が入っているであろう香典を渡す。

耕一は香典を受け取り、一瞥したあと「結構です」と突き返した。「今後、一切僕には関わらないでください。わざわざお越しいただいて申し訳ございませんが、二度と会うことはございません。お引き取り下さい」と告げた。

日本ダービーの日、美紀子が耕一に何を話したのかは描かれていない。よって、耕造の存在をどう伝えたのかは不明である。耕一がどんな胸中で父親と対峙したのか分からないが、最後に不快感を露わにしたのは確かだ。声に怒りの感情がまとわりついていた。

これまでの約20年を金で解決しようとしたから？もちろんそれが引き金だろう。香典を受け取り、耕造を一瞥した直後、明らかに瞳の光が消えた。“ああ、この人はダメだ”と思ったのかもしれない。そもそも、栗須が自分の相談役になると聞いたときも、“父親としての務めを果たさないのか”と違和感を覚えた表情をしたようにも感じる。

上述したのはあくまでひとつの予想である。耕一がどんな想いであの言葉を発したのか、本当のところはまだ誰にも分からない（額面通りの可能性は高いが）。ただ、目黒が演じたことで、耕一がどんなことを思っているのか探りたくなったし、“実はこうではないか”と考えたくなった。それは、目黒蓮が「考察したくなる演技をする」俳優だからだろう。本作でも、耕一というキャラクターを深掘りし、その想いに寄り添いたくなった。彼を追いかけて、どんなことを考えているのか知りたくなった。短いやりとりながら、目黒の演技に抗う間もなく惹き込まれたシーンだった。

この葬儀のやりとりで、なぜ目黒が耕一を演じているのか。その意味を理解した。複雑な想いを抱える耕一は、目黒蓮しか演じられないーー。

次回は第6話。耕造がホープと共に引退を表明。さらにあることを告白したことで、栗須は耕一に会いに行く。

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ザ・ロイヤルファミリー

Episode５ 「日本ダービー」

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