『あのクズを殴ってやりたいんだ』海里(玉森裕太)は約束を果たせる?波乱の恋の行方が描かれる最終回!
ほこ美のプロボクサーとしての初戦が決定し「試合の写真を撮る」という、かつての約束を果たしてほしいと海里に迫るほこ美。果たして海里は試合に現れるのか?また、海里と相澤の関係性の結末は?波乱の恋の行方が描かれる最終話・第10話をレビュー!
オリジナル脚本で描かれる、異色の”クズきゅん♡“ボクシングラブコメディ。結婚式当日に婚約者に捨てられたアラサー女子がクズ男を殴るためにボクサーを目指す!演技派・奈緒演じる、フツーすぎる令和のヒロイン・ほこ美と、玉森裕太扮する謎の金髪美青年・海里との運命の(?)出会いを描く第1話。
しっとりラブロマンスからのどんでん返しの展開に注目!
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
歓声の飛ぶ中、コーナーから立ち上がった女子ボクサーが、果敢に相手選手に拳を向ける!そこへ、カメラを片手に持ったヒロインの相手役の若者が息せき切って駆けつける…。
格闘技がテーマのドラマと言えば、これまでは十中八九、男性が主人公だったものだが、それが逆転。まさかのラブコメのヒロインというのが、このドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』の大きな特徴だ。
29歳にして結婚式当日に彼氏逃げられた崖っぷちヒロインが、なぜかボクサーを目指すという設定なのである。
これが多様性が謳われる令和のラブコメなのか?
などと思っていると、ヒロインは相手選手に強烈なボディを喰らい、さらに左からのフックでダウン!女子ボクサーは、「なんで私、こんなことしてるんだっけ?」と心でつぶやく…。
この女性こそ、奈緒演じる、このドラマの主人公・佐藤ほこ美である。
そのネーミングからして「ん?」と首をひねる人も多かろう。なかなかにラブストーリーのヒロインの名前としては、似つかわしくない名前ではないか。
画面にはノックダウンで横たわるほこ美。
「どうしてこうなった?」というほこ美(そして視聴者)の思いを汲んで、場面は1年半前へとさかのぼる。
場所は結婚式場の控室。式の準備をするほこ美のもとにスタッフが新郎を探しに来る。電話をすれど掴まらず、控室に行くと脱ぎ散らかした礼服が…。あわてて新郎を探して結婚式場を走り抜けるヒロイン。
このシチュエーション、ある年齢層以上の視聴者なら思い出すドラマがあるだろう。それは、平成を代表する名作ドラマ『ロングバケーション』。
山口智子が演じたヒロイン・葉山南は着崩れた白無垢を引きずって走るという惨めな状況に置かれながらも、その立ち居振る舞いはどこか強気でカッコよかった。
だがしかし、令和のヒロイン・ほこ美は、バスローブ姿に前髪にはカーラーが巻かれ、足元は短いダサソックス。ウエディングドレスさえ着せてもらえない。
さらには、残酷に突き放す新郎に追いすがった彼女は派手に転び、流れる鼻血を拭うのだ。演じる奈緒がかわいそうになるくらい、徹底的にダサいヒロイン。それがほこ美…。
失われた30年とはよく言うが、同じシチュエーションでこうまで違うヒロイン像になるのなぜか?その理由をちょっと考えたくなってしまう。
『ロングバケーション』のヒロイン・南は、そもそもが自分をしっかり持った女性で、その強さゆえに男に捨てられたという設定である。木村拓哉演じる、自分に自信のないピアニストの卵である瀬名秀俊は、そんな彼女の強さに惹かれていく…という展開だった。
思えば平成の世は不景気の序章とはいえ、女性の社会進出が進み、“オンナの時代”などと謳われ、強気なヒロインが憧れの女性像だった時代。
まだバブルの余韻もあり、ラブストーリーのヒロインに憧れの女性像を設定し、そこに夢を見ることができるまだまだ幸せな時代だったのかもしれない。
一方のほこ美である。
太眉に前髪ぱっつんの、およそオシャレとは程遠い、しかし、どこにでもいそうな可もなく不可もないルックス。市役所勤務で、性格はマジメが取り柄の至って常識的な一般人である。(こういう”どこにでもいそうな女子”を演じさせると、奈緒ほどハマるキャスティングはない)
平成のヒロイン・南と比べると、令和のヒロインのなんとも夢のないことよ(涙)。SNSを開けば男女の分断、不倫やダメ男、いただき女子の話題ばかり。若き男女は身を焦がすようなロマンスには走らず、堅実な婚活に勤しむ。
もはや恋愛に夢を見れない時代なのだな、としみじみしてしまう。
そんな令和のラブストーリー、そうであるなら一体どんな展開を迎えるのか?逆にワクワクするではないか!
さて、結婚生活がご破産になったほこ美はというと、気はいいが男にだらしない母・明美(斉藤由貴)が営むスナックの上階にある実家に戻ることに(斉藤由貴のパンチの効いたカラオケオンステージや回想シーンでの見事な若返りぶりもある意味、見どころ)。
ここで判明するのは、クズ男に引っかかり続ける母の姿を反面教師にしているからこそ、「絶対に母親のようにはなりたくない」と、フツーすぎるほどフツーに堅実に生きる道を選んできたほこ美の姿だ。
”フツー”であることすら、頑張らないとなれないという世知辛さこそが令和の世。
バツイチ出戻りの妹・さや美(鳴海唯)に邪険にされ、幼い姪っ子・美々(磯村アメリ)に「こんなかわいそうな人、滅多にいないよ」とかばわれるほこ美に、果たして幸せはやってくるのか?
ここで伏線として挟まれるのは、渡部篤郎扮するボクシングジムのオーナー、羽根木成に呼び込まれ、ふらっとジムを見学しに立ち寄ったほこ美の姿だ。
「腕力を持てば男に傷つけられても追いすがらず、殴りつけることができたのかも…」と、軽い気持ちでジムを覗いたほこ美だったが、成の娘でトレーナーのゆい(岡崎紗絵)から「軽い気持ちでやれるもんじゃないよ」と言い放たれ、惨めな気持ちで立ち去ることに…。
そんなほこ美の悲しすぎる境遇に、モヤモヤが止まらない視聴者の気持ちを晴らしてくれるのは、結婚式場ですれ違った金髪の美青年・葛谷海里である。
3年前の同枠『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』では、母性本能をきゅんきゅん刺激する子犬系男子を演じた玉森裕太が、今回は少し影のあるクールなたたずまいでこの役を演じている。
さて、その海里はブライダルカメラマン。実は、ほこ美の結婚式当日、彼女の惨めな姿を偶然に目撃して写真に収めていた。その写真を見せつけてからかうのかと思いきや…海里は、なぜかほこ美に肩入れする。
カメラマンの傍ら、バーテンダーのバイトをする海里は、自身が勤めるバーにほこ美の婚約者を引き留め、ほこ美が立て替えた挙式の代金を取り戻すのに力を貸してくれるのだ。
プロボクサーのような俊敏な動きで婚約者のパンチを交わし、その腕を捻り上げ、「結婚式で取り残された彼女の気持ち、考えたことあります?どれだけ傷つけたと思ってるんですか」と吐き捨てる姿のカッコよさ!
確かにドラマ公式の謳い文句通り、全女子を沼らせる男♡
とはいえ、ほこ美に「ほっこ」とあだ名を付けて親しげに呼んでくる距離の詰め方のエグさ(いい意味で)からは、ハマったらヤバい男味がふんわり漂ってもいるが…。
お礼に食事をと、共に屋台のラーメンをすすったあと、ゲーセンにも行った2人は、なんとなくいいムード。ほこ美は、物理の得意なリケジョ(理系女子)の一面を発揮して、お揃いのぬいぐるみをゲットしたりする。
絵に描いたような運命の出会いのシチュエーションであるが、だからこそ、できすぎな展開に観る者には一抹の不安がよぎる。
借りたハンカチを返しに海里のバーに立ち寄ったほこ美に、海里が出したカクテルは「ブルームーン」。カクテル言葉(などというものがあるのか!)によると、そのカクテルが意味する言葉は「奇跡」と「叶わぬ恋」。
コレは何かの示唆なのか?
ほこ美が海里のバーに通うようになったある夜、カウンターで寝入ってしまったほこ美は、海里に送ってもらうことに。
夜空の月を見つけて嬉しげなほこ美に「月、好きなの?」と問いかける海里。「月って付いてくるじゃないですか。だから、いつもそばにいてくれる気がして」と話すほこ美に、「ほっこは頑張り屋だ」と海里は理解を示す。
「見てたらわかるよ。いろんなこと飲み込んで、苦しい思いもして。それでも一人で頑張ってきたんじゃないの? 月に励ましてもらってさ」
これこそ、疲れた令和のオール女子が言ってもらいたい言葉ナンバーワンでは?頑張ってる女子、イケメンにいたわられたいのだ。
そんな海里に気を許し、ほこ美は子供の頃から家庭環境を理由に嫌な目に遭ってきた自身のことをポロッとこぼしてしまう。そんな彼女の方に向き合った海里は、「こんな子、初めて」と少女漫画のようなきざなセリフをつぶやいて、いきなりのキス!
観る者も、ラブストーリー王道の展開にうっとり。
…としながらも、やっぱりどうも上手く行き過ぎなのである。クズを殴るんじゃなかったっけ?…と、ロマンチックなはずのキスシーンだというのに心はざわつくばかり。
一方で、展開早すぎな恋に気もそぞろのほこ美は、仕事中もボーッとして、何かと彼女を気にかけてくれるエリートの同僚・大葉奏斗(小関裕太)にフォローされる始末。
そんな中、仕事の大事なプレゼン会議の直前、母・明美が男に振られたとプチ失踪騒動。仕事をなげうって母を迎えに行ったほこ美の前で、妹・さや美までもが「私も振られた」と泣き崩れる。
その夜、ダメな家族をフォローして気持ちの疲れ切ったほこ美の前に、ナイスタイミングで現れたのは海里!「今日は月が見えない」というほこ美に、「いいよ、泣いても」と甘やかしのフックをかます。
さらには「俺がほっこの月になるよ」と胸に来る一発も繰り出して、見事ほこ美は沼に沈むことに。
海里の胸に飛び込み、泣き続けるほこ美に優しくキスをする海里…。
やっぱり、彼は運命の人?恋の予感に胸踊らせるほこ美。
しかし、そんな幸せは一瞬で崩れ去る。手をつなぎ歩く2人の前に、いかにも遊び人というスレンダー女子が登場。「海里は誰のものにもならないの。でも勘違いするオンナはたくさんいて、あなたはその大勢の中の一人」と言い放ち、ほこ美の目の前で海里とキスを交わしたのだ!
ボーゼンとして「今のなんですか?」と海里に問いただすほこ美に、海里はしれっと「婚約者から取り戻した分、俺に貢いでくれるかなって」と冷酷な本音を漏らす。
ほこ美に「クズ!」と罵られても「知ってる」とケロッとした表情で立ち去っていく海里…。
追いすがって殴ろうとして、ほこ美はここでも地べたにすっ転んで鼻血を流す。そして、今度はそれを蔑むように「こんな子、初めて」と捨てゼリフを吐く海里。
クズの真打ちはこっちか…。ここでタイトルの伏線回収!
しかし、根性で”フツー”を手にしてきたほこ美は、どんなに惨めな目に合わされても負けっぱなしではいられない! だからこそ、令和のヒロインなのである。
ほこ美は歯を食いしばって立ち上がり、商店街を全速力で駆け抜けてボクシングジムを目指す。
『ロンバケ』の南は街を走って新しい恋に救われたが、令和のほこ美はクズを殴るために走る!これはこれでカッコいいではないか!
一方、海里は海里で、単なるクズ野郎ではなさそうな匂わせがラストに…。
それにしても、この最悪な出会い方の2人がホントにこれから恋に落ちるのか?マイナスのスタートから、どう盛り上がっていくのか。次の展開が待たれる!
第1話の視聴はこちらから
第2話の予告編はこちらから
公式サイトはこちら
ほこ美のプロボクサーとしての初戦が決定し「試合の写真を撮る」という、かつての約束を果たしてほしいと海里に迫るほこ美。果たして海里は試合に現れるのか?また、海里と相澤の関係性の結末は?波乱の恋の行方が描かれる最終話・第10話をレビュー!
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