秘密の社内恋愛を描くラブコメは数あれど、職場では他人を装う夫婦が主人公という逆の発想がユニークなドラマ『五十嵐夫妻は偽装他人』。U-NEXTで配信中の海石ともえによる同名漫画を原作に、お互いが気になりながらも反発し合う夫婦の“もだもだ”した関係を描き出す。

家出中の妻・会沢真尋を演じるのは、テレ東ドラマ初主演となる新川優愛。夫の五十嵐直人役は、昨年の大河ドラマ『光る君へ』で一条天皇役に扮して注目の塩野瑛久が扮する。別居中の夫婦の直人と真尋は、お互いに相手に告げずに転職。すると2人の転職先は偶然一緒で、しかも同じ部署で働くことに。

夫婦であることを隠す2人は、部署の飲み会もどうにか乗り越える。お互いを気にしていながら素直になれない真尋と直人。そんな中、直人は積極的なあざと女子の美羽と、真尋はマイペースに見えて頼れる翠と距離を詰めることに…。夫婦の過去の関係が明かされると共に、ドキドキの四角関係も勃発しそうな第2話をレビュー！

※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。

コントラクト事業部の歓迎会での「結婚してますか？」という同僚たちの無邪気な質問に、真尋は「結婚してます」、直人は「独身です」とバラバラに答えてしまった2人。

独身と聞いて、キラキラ目を輝かせて直人を見つめる美羽（田辺桃子）の姿が、不憫かつ不穏である…。

一方、「どんな旦那様？」と聞かれた真尋は、「見た目は中の上。健康オタクで友達少ない。取り柄は仕事ができることくらい。営業なので外面はいいし、口は上手いんですけど」と、本人を横に言いたい放題。

いやいや、塩野瑛久の見た目が中の上なわけがない！上の上！…という心の声はさておき。

カチンと来た直人は、「仮にも結婚した相手に随分辛口だね」とチクリ。すると、真尋は「結婚した相手だからですよ」と言い返す。

一方、結婚について聞かれた直人が「今は出会いがない」と答えると真尋は呆れ顔。それをよそに「ひとりを満喫してるんだ。時間を自由に使えるって快適。全てを効率的に進められるし」と、直人の口ぶりは真尋への皮肉たっぷりだ。

いよいよ生き生きしてきた美羽は「次長は社内恋愛ってありだと思いますか？」と質問。直人は「仕事に支障が出なければ」と答える。

ちょい直人さん、そんなことを言っては、ますますややこしくなるではないか！真尋は真尋で「旦那さんとどこで出会ったんですか？」と根掘り葉掘り聞かれる状況になり、2人の間に流れる緊張感にすべてを知る部長だけがヒヤヒヤ。

と、ここで突然立ち上がったのは翠（兵頭功海）。「そろそろ帰っていいですか？オンラインゲームの対戦があるので」という空気を読まない彼のひと言で、歓迎会はお開きに。

針のむしろを抜け出した2人は、妙（浜中文一）の営むスナック「ビューティフル」へ。

「何が中の上かな、だよ」と憤る直人は、真尋の靴の汚れを指摘してチクチク。それに反発した真尋は「あんたなんか下の下の下よ」とここでもやり合う2人に、妙は「ケンカする前に、自分が何に怒っているのか、おのおの考えなさい」とピシャリ！

この妙の言葉……含蓄ありすぎて耳が痛い。涙。真尋と直人にもグッサリ刺さった様子で、それぞれ沈黙。直人は考え込み、真尋はそんな直人を置いて帰ってしまう。

「こういう時、追いかけるもんじゃないの？」と言う妙に、直人はポツリとつぶやく。

「期待されてないんで」

一方、真尋も店の外でひとりつぶやく。

「ホント、何に怒ってるんだろう」

やっぱり、憎み合っているわけではなさそうな2人だが、こじれっぷりもなかなかのもの。ここからはそんな2人の「どうしてこうなった？」の回想シーンへ。

食器をまとめ洗いして節水する真尋に、汚れ物を溜め込むことが許せない直人。

ゴミ出しを忘れた真尋を責める直人に耐えられなくなった真尋は、「私は1日くらいゴミが溜まっても、キッチンが汚れても、『お疲れ様』って言い合えるような、そんな夫婦になりたくて」と直人に気持ちをぶつける。

しかし、直人は深いため息をついて背を向けてしまう…。

第1話の冒頭で断片的に描かれたシーンが、ここでひとつに繋がった。

夫婦の間で少しずつズレていき、溜まっていった何か…。

「その何かがなんなのかわからないまま、私は逃げたんだ」

真尋のモノローグにかぶせて映される、晴れやかな笑顔の2人の結婚写真がなんとも切ない…。

そんな中、真尋はひとり住まいの転居先に帰宅。そこへ、急に喫茶店を営む父からビデオ通話で電話がかかってくる。

別居がバレないように無難な背景を探し、直人はまだ帰っていないと慌てて取り繕う真尋。会話の内容からすると、どうやら父もひとり暮らし。電話を切って、「やっぱ言えないよな」とつぶやく真尋を見ると、父との関係は良好なものの、心配だけはかけたくない存在である様子だ。

この先、この父娘の関係もストーリーに絡んでくるのか。注目したいポイントかも！

一方、直人の方にも衝撃の出来事が！夜のコンビニに立ち寄った直人が見かけたのは、スカジャンを着て、いかつい男友達とダベる、ヤンキー丸出しの美羽の姿。

吸っていた加熱式タバコをサッと隠すも時すでに遅し。しっかり直人は、その姿も目撃していた。

「引かれてもいいんで、会社の人には言わないでください！」と訴える美羽にビビリつつも、「言わないよ。わざわざ人に言うことじゃないし」と必死な彼女をなだめる直人。

「誰にだって人に言えない秘密はある。それを外に出さないっていうことは、社会人としてのわきまえがあるってことだよ」

脛に傷持つ直人だからこそのこの言葉であろうが、「普段、相当がんばってるよね」と逆に褒められた美羽は、「スペックだけじゃなくて中身も完璧」と大感激。

いよいよマジ惚れしてまった様子の美羽は、この先どんな行動に出るのか？ドキドキ度アップである。

しかし、「普段、相当がんばってる」の言葉で直人が思い浮かべるのは真尋のこと。そして真尋もまた、直人に指摘された靴の汚れが気になり、「ちゃんとしなきゃと気を引き締める。それぞれがそれぞれのよさに再び気づけば、うまくやり直せそうな2人なのである…。

そんな中、真尋の案件で発注の際の確認ミスが発覚。このままでは納期に間に合わないことに！真尋は大慌てで先方の社長と面識のある翠に声を掛けるが、翠はのんきにスマホでゲーム。呆れながらも、真尋は翠と共に社長に直談判に行く段取りをつける。

しかし、先方の社長は「今月中は無理」とにべもなし。社長の大きなため息を聞いて、真尋は押し黙ってしまう。すると、翠は社長に「なら今回は諦めます。その代わり…」とゲームのフレンドになってほしいと持ちかける。そして、ゲームの話で社長の心をつかみ、納期に間に合わせるよう承諾を得ることに成功！

仕事中のゲームも、実は怠けているわけではなかった模様。飄々としつつもヒーローのようなお助けっぷりにキュンキュンさせられてしまう。

そんな翠は、社長のため息を聞いた瞬間、黙ってしまった真尋に「原因と理由は？」と尋ねる。

「原因は置いといて、もうお前とは話しても意味がないって諦められちゃったんだなって」

明らかに直人を念頭に置いてそう答える真尋に、そうと知らず「ため息にもいろいろあるんじゃないですか。呼吸整えてたり、丁寧に次の言葉さがしてたり」と返す翠。

そのできた人間っぷりに、思わず真尋は「瀬戸くんって、人生10週目とかの人？」と感心し、「ありがとう」と爽やかに右手を差し出す。

少しの逡巡ののち、それに応えておずおずと握手をする翠。真尋はあっさり去るが、握手したことにとまどう翠の不器用な姿がこれまたキュート！そして、爽やかすぎて鈍感に男心をくすぐる真尋の罪なオンナ像、めちゃくちゃ新川優愛にハマっている。

真尋との関係性もこれからどうなるのか。こっちもドキドキ！

一方、会社に戻った真尋がデスクの上に見つけたのは、自分の足にぴったりのサンダルだった。朝から真尋の靴の具合が悪く、つまずきながら歩いていることに気づいていた直人からのプレゼント？

真尋も、これが直人からの差し入れだと気づいているよう。というのも、2人の馴れ初めとサンダルが関係しているから。

以前の会社で、会議で意見が合ったことをきっかけに距離が縮まった2人。真尋が靴擦れを痛がっていることを知った直人が、彼女に自分のサンダルをプレゼントしたことが親しくなるきっかけだったことがここで描かれる。

やっぱり直人は、真尋に大いに気持ちが残っている模様。ということは、翠の気持ちがどうなるかによっては、真尋が両手にイケメン状態になるのか？

とはいえサンダルをもらって嬉しそうな真尋を見ると、単純な四角関係にはならなそうな気配も…。

「サンダルありがと。」

「その足じゃ歩けないだろ」

LINEでやりとりする真尋と直人。その流れで、靴や服をマンションに取りに来るように誘う直人。それに素直に「行きます」と答える真尋。

「今ならちゃんと話せるかもしれない」

お互い、同じ気持ちで別の夜道をマンションへ向かう真尋と直人。やっと素直になれそうな夫婦。やっぱり元サヤに？

と、思っていたら、直人のマンションの前に立つ女性がひとり。美羽である。

「次長！」と駆け寄って、直人に抱きつく美羽。

もちろん、直人は「どうしたの？」とわけがわかっていないのだが…ちょうどそこへやってきた真尋は、そんな直人のとまどいには気づかない。

抱き合う2人を見てショックを受ける真尋。なぜ、このタイミングで美羽がここに？しかし、その答えは、次回へ持ち越し！じれったいけど待つしかない!!

第2話の視聴はこちらから

五十嵐夫妻は偽装他人

第２話 「あなたは下の下の下の夫」

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