まさかまさかのことが巻き起こった『ライオンの隠れ家』(TBS系)第10話。張り詰めていた糸がプツンと切れたことで、あの人物の心に変化があったのか。そして、彼らの未来まで描こうとするなんて……。第10話鑑賞後は、やはりこのドラマが好きで良かった。追いかけ続けて良かったと思った。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
橘祥吾(向井理)がライオン(橘愁人/佐藤大空)を連れて行方不明に。小森洸人(柳楽優弥)は、GPSが入っているぬいぐるみを頼りに2人を追いかける。すると、抵抗するライオンを無理やり連れ出そうとする祥吾の姿があった。洸人が助けに入るも、反対に殴られてしまう。
祥吾から「僕はずっと家族のためだけに生きてきたんだ。そのために……全部やってきた」と言われたものの「きっと僕も同じ間違いをしているのかもしれません」と洸人。
「“相手のため”。そう言いながら、結局は自分のために相手を縛って。家族だから、家族だからって。あなたも純粋に愛してきたときがあったんじゃないですか? 素直な思いやりだけ持っていたときが。でも、それがどんどん掛け違って……。あなたも本当は気づいているんでしょ?」
そんな洸人の言葉に、祥吾の目には涙が溢れた。決して声を出して泣くわけではない。ただただ目に涙を溜めてこらえているような、洸人の言葉ですべてが浄化されたような表情をしていた。
前回まであれだけ彼を憎んでいたのに、祥吾の境遇に立つと、誰しもが加害者になってしまうのかもしれない……とすら思う。もちろん暴力はもってのほかだし、彼には反省してほしいものだが、何とも辛い結末となった。
その後、祥吾は逮捕。監禁されていた愛生(尾野真千子)も見つかり、入院を経て小森家に戻ってきた。その日の夜は、吉見寅吉(でんでん)が持ってきたカニで快気祝いをした。
翌朝、洸人が起きると、すでに朝食の準備がされていて、洗濯物も干されていた。家を出る愛生に「何かできることがあれば」と声をかけるも「いいの。洸人は自由に好きなことをして過ごして」と返された。美路人(坂東龍汰)の送りも彼女がやってくれたため、洸人は一人で自由な時間を過ごす。
そんな愛生に勧められ、一度断った貞本洋太(岡崎体育)と牧村美央(齋藤飛鳥)との飲み会に参加した。ビールを飲んで笑顔を見せる洸人。2人と話をするなかで、自分の時間を持てるようになって、何をしたらいいのか分からない、と本音を述べた。
朝遅めに起きて、誰もいない家でカップラーメンを食べる。洸人は何を思っているのか?何かを抱えているような……そんな表情に見えなくもない。
17時30分。いつもであれば洸人が美路人を迎えに来る時間だ。しかし、兄は姿を現さなかった。美路人がパニックになりながら家に戻るも、やはり洸人の姿はない。一体彼はどこに消えたのか。ここで第10話が終わった。
正直、祥吾たちの一件を最終話まで引っ張ると思っていた視聴者も多いのではないだろうか。もちろんそれが定石だし、彼らのその後を“想像する”という楽しさもあるので、それでも不満はなかった。しかし、このドラマは、“それ”にこだわらなかった。
一本の幹だった事件を終わらせてまで描こうとしているのは、洸人たちのその後と“心”である。ライオンが小森家に来る前と後では、洸人の考え方も変わっただろうし、心も強くなったと思う。そして、美路人もかなり成長している。
それぞれに変化があった兄弟が、今後どんな人生を歩んでいくのか。絶対に知りたいし、そこを最終話でしっかり描く『ライオンの隠れ家』には感謝を伝えたい。やはり一味も二味も違うドラマだ。
「美路人のため」と思っていたが、「自分のため」に弟を縛っていた、と気づいた洸人が何を決断するのか。そして、美路人に何を伝えるのか。次回はいよいよ最終話。このドラマが描きたかったものとは──?
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