【12月映画ランキングTOP10】『映画版 変な家』2カ月連続1位。『帰ってきた あぶない刑事』『ソウルの春』が初登場TOP5
見放題では、クリント・イーストウッド監督『陪審員2番』、中山美穂主演『Love Letter』が上位
社会派・自然・動物などいろいろなジャンルがあるドキュメンタリー。ここでは、ハリウッドで活躍する俳優やクリエイターたちの人生に迫る作品の中からおすすめを厳選して紹介したい。
『ハリー・ポッター』シリーズ撮影中の事故で下半身不随になったスタントマン、デヴィッド・ホームズの半生を、友人・家族へのインタビュー、舞台裏・メイキング映像などを通して追っていく。本作で製作総指揮を務めるハリー役のダニエル・ラドクリフも登場。
幼い頃から体を動かすことが大好きで、物心ついたときにはスタントマンへの憧れを口にしていたデヴィッド。そんな彼がたった一瞬にして、一生一人では生活できない身体になってしまうなんて想像を絶する辛さだろう。それでも事故後の動画では、彼が常に前向きな姿勢で過ごし、さらに周囲の人を気遣う余裕まで見せる様子が映し出されている。
人生を変えてしまう悲劇を経験したデヴィッドだけど、彼の周りにはダニエルを始め、事故後にデヴィッドの役割を引き継いだスタント仲間や介護係を引き受けた友達など、常に素敵な人たちに囲まれているように見えた。『ハリー・ポッター』シリーズのファンでもそうでなくても涙なしには見られない、愛と思いやりに溢れた感動の一作。
U-NEXTでは、デヴィッドが参加した『ハリー・ポッター』シリーズや、スピンオフ『ファンタスティック・ビースト』シリーズ、「ハリポタ」初の同窓会『ハリー・ポッター20周年記念:リターン・トゥ・ホグワーツ』なども配信中。
『トップガン』『バットマン フォーエヴァー』『ウィロー』『ヒート』『キスキス,バンバン -L.A.的殺人事件』など数多くのヒット作を持つ俳優のヴァル・キルマー。ハリウッドを代表する俳優のひとりだが、2017年、咽頭がんによって声を失っていた──。大量に残されていた幼少の頃からのホームビデオの映像と共に、現在のヴァル自らが俳優人生を振り返っていく貴重なドキュメンタリー映画。
野心家だった父親のおかげで裕福だった子ども時代を送ったヴァル。兄弟そろって映画に携わりたいと、小さな頃からクリエイティブに溢れた日常は常にビデオカメラに収められていた。スターになっていく過程、後に妻となるジョアンヌ・ウォーリーと初めて会った時のこと、父親になったときのこと、撮影現場でとある俳優ともめたときのことなど、ハリウッド俳優がこんなことまでさらけ出していいのかと思ってしまうほど、俳優としてかっこいいとは言えない部分、弱い部分もすべて見せている。
たとえ、数本の映画でしかヴァルを知らないという人でも、彼がどれだけ映画を愛し、俳優という仕事に命を懸けてきたかを見ることができるだろう。声を失ってしまったけれど、更なる活躍を願わずにはいられない。
『ジョーカー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞し、シリーズ新作『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』の公開も控えるホアキン・フェニックス。彼が2008年に突如、俳優をやめてラッパーに転身すると発表し、全米を騒然とさせた出来事を追う。本作の監督・製作・撮影・編集・出演を兼任するのは、ホアキンと当時義理の兄弟でもあった親友のケイシー・アフレック(『マンチェスター・バイ・ザ・シー』)。ラッパーのディディ(ショーン・コムズ)やモス・デフのほか、ジャック・ニコルソン、ブルース・ウィリス、ナタリー・ポートマン、ヒュー・グラント、ベン・スティラーらも登場。
1995年の『誘う女』を見た時からホアキンのファンであった筆者は、突然の俳優引退宣言をはじめ、“ラッパー”ホアキンが不可解な言動をしているというニュースが現地から届く度に戦々恐々していたことを思い出す。
本作は正確にはドキュメンタリーでなくモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)。これだけ長期にわたり壮大でバカバカしいことを仕掛けたホアキンたちに、拍手を送るべきかブーイングを送るべきかは、実際に本編を見て判断してほしい。
『マルホランド・ドライブ』や『ブルーベルベット』、海外ドラマの金字塔『ツイン・ピークス』など、デヴィッド・リンチの手掛けた作品を見たことがある人なら誰でも一度は考えたであろう、「これ作ったのって、どんな人?」という素朴な疑問に答えをくれるドキュメンタリー。難解ながらも見る者を惹きつけて離さない、数々の名作を生み出してきた男の生い立ちと創作への想いが、リンチ自らの言葉で語られる。
劇中にはリンチが描いた作品のカットも大量に挿入されるが、そのミステリアスな作風から想像されるリンチ像と、本作から感じ取れる“リンチという人”との間にギャップがあると感じる人は多いかもしれない。恵まれた環境に生まれ育ち、本人なりの悩みや悪友との付き合いがありつつも、才能を伸ばす場所と発揮する場所を見つけたリンチ。映画に登場するキャラクターのような奇人ではなく、地に足をつけた考え方を以てアートや創作に向き合うひとりの人間の生きざまが興味深い。
『スター・ウォーズ』シリーズのレイア姫役でお馴染みのキャリー・フィッシャーと、彼女の母で『雨に唄えば』などで知られるハリウッドを代表する名女優デビー・レイノルズは、2016年末に1日違いで亡くなった。本作では、ホームビデオやインタビュー映像を通して彼女たちの最晩年の日々に密着し、母娘の素顔に迫る。
ハリウッドスターならではの様々な苦難や波乱もあったのだろうけど、軽口を言い合い、お互いを思いやる2人の様子からは、どこにでもいるような仲睦まじい親子であったことが想像できる。
ファンキーで歯に衣着せぬタイプのキャリーとおっとりしていて可愛らしいデビー。まったくタイプの違う母娘だけど、親友と呼び合う彼女たちが交わすウィットな掛け合いが微笑ましい。まさか親よりも先に亡くなるなんて思ってもいないだろうキャリーが体調の悪いデビーを気遣う様子には胸を打たれる。
死の直前まで『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の撮影をしていたキャリー。本作には、彼女がSWファンと交流する様子なども収められている。2025年春に日本で開催されるSWファンにとってのビッグイベント「スター・ウォーズ セレブレーション」に向けて、SWキャストの関連作の一つとして今のうちに見ておいてはいかがだろうか。
見放題では、クリント・イーストウッド監督『陪審員2番』、中山美穂主演『Love Letter』が上位