プレミアリーグ通算410試合出場のカイル・ウォーカーが帰ってくる バーンリー行き決断の背景を語る「このクラブの旅路に加わりたい」
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プレミアリーグ通算410試合出場のカイル・ウォーカーが帰ってくる バーンリー行き決断の背景を語る「このクラブの旅路に加わりたい」

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マンチェスター・Cで数々の栄光をつかみ、海外での挑戦も経験したカイル・ウォーカーが、新天地バーンリーへの移籍を決断した。キャリアの円熟期を迎えたベテランは、なぜ世界最高の舞台へ帰還する道を選んだのか。決断の背景とファンへの想いを、インタビューで言葉にした。

「他の場所へ行くより、ここでの挑戦がはるかに大きなものになると感じた」

──カイル、バーンリーへようこそ。クラレッツ(バーンリーFCの愛称)の一員になった今の気持ちはいかがですか?

ウォーカー:最高の気分です。このクラブがここ数シーズンで成し遂げてきたプロジェクトの一員になれるのですから。 外から見ていても素晴らしいと思っていましたし、すでに知っている顔もいます。シーズンの開幕が今から楽しみです。

──移籍を決めた具体的な理由は何だったのでしょうか?もちろん、立地も大きな要因だったと思いますが、キャリアのこの段階で「ここが正しい選択だ」と感じさせたものは何でしたか?

ウォーカー:まさに今おっしゃった「キャリアのこの段階」という点が大きいですね。長年素晴らしいクラブに在籍し、海外でのプレーも経験しました。 その上で、どこか「ファミリークラブ」と呼びたくなるような場所が必要だと感じていたんです。 

練習場を訪れた時、息子もそこでトレーニングをしていたのですが、クラブに流れる空気感や、オーナーたちがバーンリーというクラブのために何をしようとしているのかが伝わってきました。 僕もその一員になりたい、このクラブが歩んでいく成功の旅路に加わりたいと思ったんです。

──クラブのカルチャーについて触れられましたが、スコット・パーカー監督の役割も大きいと思います。元チームメイトでもある彼が、今回の決断に与えた影響はどれほどでしたか?

ウォーカー:ええ、彼の存在は非常に大きかったです。 彼が志向するサッカーのスタイルは、バーンリーだけでなく、以前率いていたフラム時代から高く評価していました。

何よりまず、一人の人間として素晴らしい。トッテナムだけでなく、イングランド代表でもロッカールームを共にする機会に恵まれました。 そんな人物から電話がかかってきて、「僕のチームでプレーしてほしい」と頼まれるなんて…僕がこれまでロッカールームやピッチで、何か正しいことをしてきた証拠だと感じます。 この機会を与えてくれた彼、そしてクラブに関わるすべての人々にただただ感謝しています。

──あなたはプレミアリーグ史上、最高のサイドバックの一人として広く認められています。ご自身の歴史に、まだいくつかの章を書き加える余地があると感じていますか?

ウォーカー:もちろんです。プレミアリーグでの出場試合数は410試合だったかな。 自分では「410試合で終わりかな」なんて思っていた時期もありました。 でも、フットボールというのは不思議で、奇妙で、そして素晴らしいゲームです。 ですから、この出場記録をさらに伸ばし、このチームのドレッシングルームやプレースタイルに何かをもたらせたらと思っています。若い選手たちが、僕から学べるような存在になりたいですね。

ピッチの上ではできる限りリーダーであろうと努めてきましたし、若い選手たちが僕の姿を見て、僕が長年教わってきたフットボールの哲学を感じ取ってくれたら嬉しいです。 そして、スコット…いや、“ガファー”(監督)をあらゆる形で助けていきたいと思っています。

──あなたは輝かしいキャリアを送り、若手時代にはレンタル移籍を経験し、マンチェスター・Cでは数々のトロフィーを獲得しました。ヨーロッパでのプレーも経験されましたが、次世代の若者たちに学ぶ機会を与えることに、同じくらいの誇りを感じるものなのでしょうか?

ウォーカー:それはキャリアのある段階に来たら、誰もがすべきことだと考えています。 若い頃は練習で最初にボールを追いかける役だったのが、いつの間にか中堅になり、自分より若い選手がその役をするようになる。そして気づけば、一番年長者だからと、もうその役をやることはなくなるんです(笑)。

でも、自分が年老いたとは感じていません。まだまだ若いつもりですし、足には間違いなく力が残っています。 今は恩返しをしたいという気持ちが強い。これまでの僕の素晴らしいキャリアを支えてくれた人々だけでなく、今のチームメイト、特に若い選手たちに返していきたいんです。

彼らを教育することは重要です。フットボールはもちろん素晴らしいゲームですが、それ以上に大切なことがたくさんあります。 一人の人間としてどうあるべきか、どう振る舞うべきか。 そういったことを、ピッチの上で彼らに伝えられたらと思っています。そして最も重要なのは、バーンリーのために勝ち点3を積み重ね、僕が世界最高のリーグだと考えるこのプレミアリーグに、残留し続けることです。

──先ほど監督への賞賛を口にされていましたが、昨シーズン、このクラブが達成したクリーンシート(無失点試合)の多さもご覧になっていたと思います。前線への攻撃参加も好むあなたにとって、その素晴らしい記録を持つチームに加わることは、新シーズンへの大きな希望になるのではないでしょうか?

ウォーカー:間違いなくそう思います。強固な守備という土台から始められるのは素晴らしいことです。 その守備ブロック、守備ユニットを基盤にチームを築いていけるのですから。 あとは、試合に勝つためのゴールを見つけるだけです。 守るのはある意味簡単なパートであり、フットボールで最も難しいのは、ゴールを決めることですからね。

でもチームとして団結できれば、セットプレーであれ、監督が好むような緻密なパスワークであれ、きっとうまくいくはずです。大丈夫だと信じています。

ウォーカー 1

──早く練習場に行って新しいチームメイトに会い、最高のスタートを切りたいという気持ちでいっぱいなのでは?

ウォーカー:もちろんです。プレシーズンは新加入選手にとって鍵となります。 だからこそ、できるだけ早く移籍を完了させたかった。ここでこそ仲間とのつながりが生まれるし、何日も一緒に過ごす中で、その人の本当の姿が見えてきますからね。

外からの邪魔も入らず、フットボールだけに集中できる貴重な時間です。 きっと僕の歌声を聞かされることになるでしょうね。間違いなく新人恒例の歌を披露させられるでしょうから(笑)。

とはいえ、僕は誰かの上に立つような存在としてここに来たわけではありません。 一人のチームメイトとして、他のみんなとまったく同じ立場で来ました。 僕はもうバーンリーの選手であり、このクラブで偉大なことを成し遂げたい。ただそれだけです。

──開幕戦はアウェイで古巣のトッテナム・ホットスパー、そしてマンチェスター・Cとの対戦も序盤に控えています。再びプレミアリーグで戦えることに、心を躍らせているのではないでしょうか?

ウォーカー:もちろんです。すべての試合を心待ちにしています。今はバーンリーの選手として、これまでとは違う心構えで臨むことになりますが、それが本当に楽しみで仕方ありません。

もし2年前に「こうなる可能性はあるか?」と聞かれたら、「いや、絶対にない」と答えていたでしょうね。 でも、フットボールとは不思議なものです。僕に興味を示してくれたクラブは他にもたくさんありましたが、他の場所へ行って何かをするよりも、ここでの挑戦の方がはるかに大きなものになると感じました。

──ターフ・ムーアでプレーした経験から、バーンリーサポーターの情熱もご存知だと思います。2年契約を結び、新たなシーズンを迎えるにあたって、ファンへのメッセージをお願いします。

ウォーカー:僕が長年プレーする姿を、皆さんが見てきてくれたことを願っています。 ターフ・ムーアでは何度もプレーしましたが、あそこの観客がチームを後押しし始めると、相手にとっては非常に威圧的な場所になります。 シェフィールド・ユナイテッド、トッテナム、そしてマンチェスター・Cの選手として、あのピッチに立ちましたが、独特の風が吹き荒れる中でのプレーは本当にタフでした。

決して簡単な場所ではありません。だからこそ、僕たちはあそこを“要塞”にしなければならない。 ホームゲームで勝つことは非常に重要ですし、どのチームもあそこに来るのを嫌がっているはずです。

サポーターの皆さんは、いつもチームを力強く後押ししてくれます。このクラブは、ここ数シーズンの歩みを考えれば、プレミアリーグにいるべき存在です。だからこそ、今シーズンはこれまで以上に皆さんの力が必要になります。

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