柳楽優弥が主演を務めるTBS系金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』が、10月11日にスタートした。平穏な日常を過ごす小森洸人(柳楽)・美路人(坂東龍汰)兄弟が、謎の男の子・ライオン(佐藤大空)と出会ったことで、人生が激変する本作。このドラマには“良い意味で”裏切られた──。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
市役所の職員・洸人は、デザイン会社で働く自閉スペクトラム症の弟・美路人と2人暮らし。イレギュラーの対応ができない弟のために、行動をルーティン化して過ごしてきた。
ある日、いつものように美路人と自宅に帰ると、自らを「ライオン」と名乗る男の子が待っていた。彼は「ここで暮らします!」と宣言し、スマホを洸人に渡す。そこには「じゃあ、あとはよろしく」と親らしき人物からメッセージが届いていた。
……と、ここまでは「これからライオンを迎えて、家族の絆が深まる作品になっていくのかな」と勝手に想像し、油断していたのだが、少しずつ胸のなかをドロドロとしたものが渦巻くことになる。
洸人は、1日だけ預かることにしたライオンを風呂に入れる際、明らかに暴行を受けたようなアザを見つける。ライオンは親から虐待を受けているのではないか?様々な状況を鑑みて、ライオンの母親は、10歳のときにやってきて突然消えた、異母姉弟の姉・愛生ではないか?との結論に至った。
その頃、橘祥吾(向井理)は警察署に捜索願を提出していた。その書類をよく見ると「橘愛生」とライオンの本名らしき「橘愁人」という名前が。祥吾はライオンの父親なのだろうか?彼かもしくは愛生が暴力を振るったのか?そもそも、なぜライオンが小森家に?今後、ライオンの悲しい過去が明らかになるのではないか、と思うと胸が痛んだ。
こうして、全体的に温かさがありながらも謎が多く、重いテーマものしかかってくる本作だが、違和感なく世界観に飛び込めたのは、出演者の演技に見入ったからだ。
美路人を献身的に支える兄・洸人からは、終始、温かく穏やかな空気が流れていたし、この安らぎを見事に体現している柳楽には安心感しかなかった。そんななかでも、ライオンを預かる決断をした洸人の「決意の雄叫び」には胸が熱くなる。
人生は選択の連続である。一歩踏みだすかどうかで間違いなく人生は変わる。もちろん踏み出さなくても正解だし、踏み出しても正解。洸人は自分の心のなかで沸き起こった衝動に従って、一歩を踏みだす決断をした。
……もちろんただの決断ではない。ルーティン化して築き上げた「日常」をぶっ壊す彼の想いが乗った咆哮なのだ。
この他、坂東が担う自閉スペクトラム症の美路人役の表現力、5カ月にわたるオーディションで選ばれたライオン役の佐藤の存在感、癒しを与える牧村美央(齋藤飛鳥)&貞本洋太(岡崎体育)の市役所パート、怪しげな雰囲気を漂わせた週刊誌記者・工藤楓(桜井ユキ)、包み込む優しさを感じた元定食屋の店主・吉見寅吉(でんでん)……。
そして冒頭とラストには、大雨のなか、ライオンの首を絞めようとする愛生の回想シーンもあった。愛生のキャストは明らかにされていなかったが、ラストに尾野真千子であることが発覚。今後、彼女がどう関わってくるのかも期待が高まる!
SNSにも「重いテーマ」「謎が多い」「泣いた」「演技力すごすぎる」と、さまざまな感想が飛び交ったように、考察もできれば、兄弟の絆もあって、俳優たちの心震える演技も堪能できる『ライオンの隠れ家』。第1話視聴後には、「多くの人の『推しドラマ』となりうる要素が詰め込まれた物語だ」と確信した。
そもそも勝手にライオンを預かって大丈夫なのか?警察に接触する楓の動きも気になるし、祥吾が良い人なのか悪い人なのかも不明……。多くの謎と不安を抱えたままではあるが、まずは第2話の放送を待ちたい。
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