金曜ドラマ『イグナイト –法の無法者–』第9話は、15歳の娘・佳奈（藤﨑ゆみあ）との別れ、ピース法律事務所設立の経緯、伊野尾麻里（上白石萌歌）、高井戸斗真（三山凌輝）、そして宇崎凌（間宮祥太朗）と働くことになったきっかけなど、5年前に起こったバス事故によって大きく人生が変わった轟謙二郎（仲村トオル）にスポットが当たった。

※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。

5年前。法律事務所で働く轟は、病気で妻を亡くし、佳奈と二人暮らしをしていた。出勤前に「愛してるぞ」と伝えても、娘からは「キモッ……いってらっしゃい！」と返される始末。だが、彼女とは支え合いながら生活をしていて、関係は良好だった。

当時、決して多くの利益を生み出す「企業」を相手にするのではなく、立場の弱い「個人」を助ける仕事ばかりを請け負っていた轟。同僚の桐石拓磨（及川光博）とタッグを組んだ裁判では、刑事・浅見涼子（りょう）の立場ではどうにもできない案件を解決に導いていた。かたちは違えど、現在とやっていることは同じ。信念を持って事件に取り組む姿にホッとする。

そんななか、仕事にまい進する轟は、佳奈と面識のある浅見から「父親として、もっとちゃんとしたら？」と注意を受ける。さらに、桐石からも「佳奈ちゃん、そろそろ誕生日じゃないのか？たまにはちゃんと祝ってやったらどうだ？」、「佳奈ちゃんは母親を病気で亡くしたまだ15歳の子どもだ。本当は寂しがっているんじゃないか」と言われ、考えを改める。

誕生日プレゼントをどうするか……。同僚の女性に聞いたり、自身で調べたり、最終的には、佳奈自身に「全然そういうんじゃないんだけど、最近ほしいものあったりするのか？」とメッセージを送るなど、その不器用さが露わに。友人との約束を断ってまで「誕生日は父親と過ごす」と決めた佳奈も、どこか嬉しそうだ。

そんな矢先、バス事故が起こった。その日は、佳奈の誕生日だった。悲しみに暮れるなか、葬儀にはバス運転手・宇崎裕生（宮川一朗太）の妻である純子（藤田朋子）が謝罪にやって来た。しかし、轟は「お願いですから帰ってください！」と門前払い。哀しさや怒りが、表情から、声から、感じるひと言だった。

その後、浅見がこのバス事故には裏があることを知る。運転手の過失ではなく、“何か”がある、と──。

彼女から話を聞いた轟は、真相を確かめるため、事務所を辞めて個人で動くことに。そこで、純子からの手紙を見つける。

宇崎家を訪れると、彼女たちもまた“加害者の家族”として苦しんでおり、経営している弁当店には落書きがされ、誹謗中傷も受けていた。声をかけると、彼女の息子（凌）は、落書きをしている男に暴行を働き、警察に連行されたという。宇崎家族の現状を知った轟は、謝罪しつつ「あの事故と誹謗中傷は別です」と彼女に法律で戦えること、そして希望を与える言葉を投げかけた。「私たちがそんなことをしていいんですか？」と純子は言うが、「当たり前です。お願いですから生きてください」と伝えた。

その頃、宇崎は、自分が逮捕されないで済んだのは、弁護士（轟）のおかげだと教えてもらい、自身も弁護士を目指す決意を固める。

轟がピース法律事務所を立ち上げた。彼は言う。「訴えたくても訴えられない。刑事事件にもしてもらえない。そうやって、悪党の陰で怯えている人たちが大勢いる。争いは起こせばいい」と。

その後、伊野尾と高井戸が加入したが、すぐに人手不足に。そんななか、司法試験合格者名簿のなかに「宇崎凌」の名前を見つける。轟は純子のもとを訪れて……。ここから、第1話の冒頭につながるわけだ。これまで謎だった部分が補完されただけでなく、宇崎の想いにも触れたことで、より物語に没入できるかたちに。登場人物たちに感情移入していた第9話のタイミングで、エピソード0が流れたことで、よりこれからの戦いが楽しみになった。

ピース法律事務所の方針が決まったのは、宇崎家が苦しんでいたから。そして、宇崎が弁護士になったのは轟がきっかけ。この運命的な巡り合わせを生み出したのは、バス事故である。そこに感動やエモさなんてない。ここまで来たら、轟も宇崎も決着をつけるだけ。次回より、とうとうバス事故の真相に迫る！

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イグナイト -法の無法者-

Episode８ 愛か、正義か

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