『対岸の家事』第4話、多部未華子が“プリンセス”田辺桃子を略奪? 映画『卒業』へのオマージュに反響
第4話では、田辺桃子演じる医師の妻・晶子が登場。“囚われのプリンセス”となっていた晶子を詩穂が連れ出す。ダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』へのオマージュと見られるワンシーンも反響を呼んだ。
多部未華子が主演を務めるTBS系火曜ドラマ『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』第3話が4月16日に放送された。詩穂(多部)がピンチに陥った礼子(江口のりこ)から子どもを預かる。そこで問題となってくるのが、育児を“肩代わり”した分の報酬。放送後には、劇中で登場したワード「肩代わり制度」がX(旧Twitter)でトレンド入りを果たした。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
ある日、礼子の娘・星夏(吉玉帆花)がおたふく風邪に。保育園はもちろん、病児保育にも預けられず、困った礼子は1日だけ星夏を詩穂に預ける。
苺(永井花奈)がもう少し幼かった頃を思い出しながら、ほっこりと過ごす詩穂。しかし、それを聞いた中谷(ディーン・フジオカ)から「他人の娘を預かるのなら、きちんと対価をもらうべき」と忠告され、思いもよらぬ言葉に驚くのだった。
一方、会社に星夏の看病で数日間の休みを申し出る礼子。いつも自分の仕事を肩代わりしている今井(松本怜生)に絶対に嫌味を言われると思っていたが、意外にもあっさりと受け入れられる。その理由は礼子の会社に導入された「肩代わり制度」だった。
「肩代わり制度」とは、育児休業や介護休業などを取得した社員の業務をカバーする同僚の社員たちに“肩代わり手当”を支給する制度のことで、一部の自治体や企業で取り入れ始めている。中谷から制度のことを教えてもらった詩穂は何だかモヤモヤ。
そんな中、仕事に復帰を果たした礼子だが、今度は長男の篤正(寿昌磨)がおたふく風邪になってしまう。大事な仕事が控えているため、今回ばかりは会社を休むわけにはいかなかったが、出張中の夫・量平(川西賢志郎)は「同僚に迷惑はかけられない」と取り付く島もない。
有給を取得する予定だった今井からは「復帰するの、まだ早かったんじゃないですか」と言われ、中谷からも「主婦にタダで家事をやらせて、自分はキャリアを築く。良心の呵責はないんですか?」と手厳しい言葉(詩穂を思ってのことなのだろうが)をかけられる始末。まさに針のむしろ状態な礼子は、見ていていたたまれなくなる。
礼子は現代の女性が抱える苦悩や孤独を映す鏡だ。「子どもを持つ女性もキャリアを諦めなくていい」「仕事と育児を両立して自分らしく輝こう」…世の中にはそんなメッセージが溢れているが、実際にそれが可能な社会になっているかと言えば、疑問が残る。
育休は原則子どもが1歳まで取得できるが、保育園は4月入所を逃すと入りづらいために、それよりも早いタイミングで仕事に復帰する女性も多いという。復帰しても、子育てを理由に休まなければならないことが多々あるため、以前のような働き方は望めない。
実際、礼子はもともと営業部でバリバリ働いていたが、育休明けのタイミングで総務部に異動した。それでも仕事と育児の両立は厳しく、休むたびに同僚からは白い目で見られる。仕方ないじゃんと思えたら、まだマシなのかもしれない。けれど、真面目な礼子は思い悩む。
「私が休んだ分、誰かが肩代わりしなきゃいけない」「苦しむのは、私じゃない。だから苦しい」
そんな罪悪感を打ち消すように、報酬つきで詩穂に1週間、篤正を詩穂に預ける。かつて仕事のご褒美で8万円のピアスを買った礼子だが、今やベビーシッター代で8万を支払う人生に変わった。
本来は「肩代わり制度」も休みを取る人が罪悪感を感じなくても済むようにするためのものなのかもしれないが、“肩代わり”と言われると、誰かに負担を強いていることを可視化されているみたいで逆に罪悪感が増す。詩穂が違和感を持ったのはそこだった。
「せっかく助け合うための制度なのに言い方が良くないです。それなら、“肩を貸す”ってのはどうですか?」
そんな詩穂の提案を受け、ドラマの放送後には「#肩代わり制度」がX(旧Twitter)でトレンド入り。「最近導入され出した 肩代わり制度 の違和感の言語化をこんなに早く出してくれるなんて…!」「名称はどうあれ、肩代わり制度は必要だよね」「肩を貸す制度いいな〜」「名前ってやっぱ大事」「詩穂ちゃん天才!」と色々な意見が飛び交った。
一方で、肩を貸すのにも限界がある。「自分は不器用で2つのことを同時にできない」と理解し、専業主婦になった詩穂は篤正を預かったことでいっぱいいっぱいになってしまった。そのため、「家事が私の仕事だから、それがおろそかになるようなことはしたくないんです」と礼子からもらった報酬を返却。その上で、「全部は無理でも、少しなら私の肩を貸せます」と寄り添う。
「ここまではできるけど、ここからはできない」ときっちり線引きし、自分も相手も大事にできる詩穂はすごい。そこには、母(紺野まひる)が読んでくれた絵本からの教えがあった。
「海の上に降る雨って、たまたま通りかかった船だけが見るの。だから、もし誰も通らなかったら、海の上に降る雨は誰にも気づかれないままなかったことになってしまう」
詩穂と礼子が屋上で出くわしたあの日。詩穂は礼子の上に降る雨を見た。その雨をなかったことにしたくなかったから、詩穂は礼子に手を差し伸べる。
かたや、礼子は今井の上に降る雨を見る。今井が有給を取得したのは旅行のためではなく、癌を患う愛犬の看病をするため。礼子は今井に自分の気持ちなんてわからないと思っていたが、そんなことはなかった。それぞれに大事なものを抱えながら、日々責任のある仕事に向き合っている。その重みが少しでも軽くなるように、少しずつお互いに肩を貸し合えたらいい。
愛犬のためでも休めるように就業規則の改定案を出そうと今井に提案する礼子。弱音を吐き合えた2人はきっと、これからもっと良い関係が築けることだろう。
一方で、気になるのは母のことを思い出しながら人知れず涙を流す詩穂のこと。いつも笑顔で明るい彼女の上に降る雨は、一体誰が見るのだろう。
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第4話では、田辺桃子演じる医師の妻・晶子が登場。“囚われのプリンセス”となっていた晶子を詩穂が連れ出す。ダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』へのオマージュと見られるワンシーンも反響を呼んだ。
第2話では、ディーン・フジオカ演じる育休中のエリート官僚パパ・中谷が登場した。中谷の「専業主婦は贅沢」「旦那さんがかわいそう」発言に詩穂はモヤモヤ。そんな詩穂に夫の虎朗がかけた言葉が「めちゃくちゃ良い旦那」と視聴者から絶賛されている。
厚生労働省に勤務するエリート官僚で2年間の育休を取得したパパ・中谷達也を演じるディーン・フジオカさんにインタビュー。
礼子を演じる江口のりこさんにインタビュー。本作出演にあたって感じた思いや、江口さんが考える“対岸の相手”の意味合いを語っていただきました。
第1話では、詩穂が出会う働くママ=ワーママ・礼子の叫びに視聴者から共感の声が上がった。
互いの想いを伝え合ったふたりだったが、恋愛にトラウマがある麻衣は「付き合う」という関係に踏み出せない。しかし、上下はめげない。麻衣が安心して付き合えるように、とまずはお試しの関係からスタートすることに……。
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第4話では、田辺桃子演じる医師の妻・晶子が登場。“囚われのプリンセス”となっていた晶子を詩穂が連れ出す。ダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』へのオマージュと見られるワンシーンも反響を呼んだ。