『まどか26歳、研修医やってます!』自分の人生とも逃げずに向き合う大切さを教えてくれた最終回。芳根京子×鈴木伸之の幸福な結末に続編を望む声も
第10話(最終回)では、まどかが自分の人生も患者の人生も大切にするための選択を下す。菅野との恋の結末も多幸感に溢れ、視聴者からは続編を望む声が多数上がった。
芳根京子演じる研修医のまどかが、医師として避けては通れない厳しい問題と向き合った『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)第3話。まどかが担当する患者役でゲスト出演した小久保寿人の涙なしには見られない名演が感動を呼んだ。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
初期研修医として院内のさまざまな診療科を渡り歩いているまどか。今度は消化器内科での研修が始まった。その初日、まどかは指導医の指導医・手塚(木村多江)が消化器外科の西山(赤堀正樹)と激しく言い争っている場面に遭遇する。外科と内科は病気へのアプローチが違うため、ぶつかり合うこともあるのだ。
だが、手塚と西山はよく似ている。業務外では親しみやすいところがあるものの、仕事のことになると熱く、まどかに対しても手厳しい。まどかは「消化器内科は楽勝!」と言っていた同期の桃木(吉村界人)を心の中で恨むのだった。
そんな中、まどかは腹痛を訴える外来患者・中山(小久保寿人)を担当することに。付き添いで病院に来た妻の美波(田畑智子)や4歳の娘・羽奏(永谷咲笑)との仲睦まじい姿を微笑ましく思うまどかだったが、その後の検査で中山はスキルス胃がんと診断される。しかも、かなり進行しており、早ければ余命1カ月という残酷な結果だった。
その診断通りに中山は日に日に衰弱していく。いつか羽奏とお酒を飲むことが夢だとまどかに語っていた中山。当たり前に来ると思っていた未来が突然、打ち砕かれる悲しみは計り知れない。身体の痛みで死が目の前に迫っていることを実感し、「僕どうしたらいいですか」「まだ死にたくない」と零す中山を前にまどかはただ困惑するのみ。何もできない苛立ちから、同期ともぶつかってしまう。
対して、手塚は一見冷たく感じられるほどに平常運転だった。きっといくつもの死を見届けてきたのだろう。だけど、まどかは手塚が麻酔科医の本郷(溝端淳平)と中山の痛みを取り除くための方法を探る姿を見る。
「若月先生、あなたには何ができるのかな?」
泌尿器科の部長・角田(奥田瑛二)から、そう問われたまどか。一生懸命に自分の頭で考え、中山が少しでも長く家族と過ごせるように、緩和ケアに努める。そして、中山は「先生、今までありがとうございました」と告げて1カ月が過ぎた頃、美波と羽奏に見守られながら穏やかに息を引き取った。
誰よりも中山とその家族に寄り添っていたまどかに、手塚は死亡宣告を任せる。それは残酷に思えるかもしれない。けれど、医師なら誰もが通らなければならない道だから。最後まで「パパ」と呼びかける家族を前にして、冷静に死亡宣告を終え、病室を出るまで涙を流さなかったまどかは立派だった。
中山の人生の、ほんの一部分しか見ていない。だが、羽奏が「パパ起きて」と語りかけた瞬間、涙が堰を切ったように流れてきたのは、中山が家族をどれだけ愛していたかを、演じる小久保寿人がまさに全身全霊で体現していたから。
命の尊さを教えてくれた小久保の名演に、視聴者からSNSで「小久保寿人さんの演技に目が離せなかった」「目を背けたくなるくらいリアル」「お父さんが亡くなった時を思い出して、めっちゃ号泣してしまった」という声が上がっている。
初めて患者の死に触れ、医師として無力さを痛感するまどか。そんな彼女を心配し、手塚と西山が食事に付き合ってくれる。二人は同期なのだそうだ。治療方針を巡ってぶつかることもあるが、それは患者を思うが故。
まさに戦友と言える二人の姿を見て、まどかは同期と仲直りする。今回、特に印象的だったのが、翔(大西流星)だ。初めの頃は血を見ただけで倒れるなど、どこか頼りなさそうに見えた翔。けれど、実は誰よりも周りが見えていて、同期たちが喧嘩になりそうな時はそれとなく空気を和らげようとする優しい子だ。そんな翔が作ったお揃いのアップリケをつけ、まどかたちは前に進む。
菅野(鈴木伸之)もまどかが崩れそうな時に支えてくれたひとりだ。中山の死後、「もっと何かできたんじゃないか」という思いが拭えなかったまどか。身近な人を失った時、多くの人が後悔の念に苛まれる。どれだけ心を尽くしたとしても、やりきったと思えることは少ない。
それは医師も同じ。「患者さんの死はいつまで経っても慣れるもんじゃない。それでいいんじゃないか。変に、強くなる必要なんかない。人間なんだから」と菅野はまどかに寄り添ってくれた。それをどこか自分にも言い聞かせているように見えた菅野にも、忘れられない患者がいるのかもしれない。
そうやって自分の手を離れた後も、まどかを気遣ってくれる菅野。まどかの恋人・直人(渡邊圭祐)の浮気疑惑も浮上し、いよいよ二人の恋が動き出す予感がする。
第3話の視聴はこちらから
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第10話(最終回)では、まどかが自分の人生も患者の人生も大切にするための選択を下す。菅野との恋の結末も多幸感に溢れ、視聴者からは続編を望む声が多数上がった。
本作を手がけた塩村香里プロデューサーにインタビュー。主演の芳根さんや、まどかが初期研修で最初に配属された消化器外科の指導医・菅野を演じる鈴木伸之さんの印象、2人の気になる今後の恋愛模様などについてお話を伺いました。
第9話では、それぞれが進路の選択と向き合う中、ベテラン患者の橋口が腎臓がんで再び入院してくる。そんな橋口を元気づけようと、ある実行したサプライズを実行したつぼみ隊に視聴者から「かわいすぎる」「愛おしい」という声が上がった。
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第8話のテーマは“選択”だ。人生の大きな選択を目前に控えたまどかに、人生の先輩たちがさまざまな生き方を示してくれる。なかでも、医師であり2児の母でもある内田の奮闘ぶりには、特に女性視聴者から共感と称賛の声が上がった。
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