『まどか26歳、研修医やってます!』自分の人生とも逃げずに向き合う大切さを教えてくれた最終回。芳根京子×鈴木伸之の幸福な結末に続編を望む声も
第10話(最終回)では、まどかが自分の人生も患者の人生も大切にするための選択を下す。菅野との恋の結末も多幸感に溢れ、視聴者からは続編を望む声が多数上がった。
ついに最終章へ突入した『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)。第8話のテーマは“選択”だ。人生の大きな選択を目前に控えたまどか(芳根京子)に、人生の先輩たちがさまざまな生き方を示してくれる。なかでも、医師であり2児の母でもある内田(森カンナ)の奮闘ぶりには、特に女性視聴者から共感と称賛の声が上がった。
※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。
乳腺外科で研修中のまどかは、乳がん患者・美和(松下由樹)の外来診察に立ち会う。全摘か部分切除かの選択で悩む美和に、担当医の内田が選択肢の一つとして提示するのが、乳房の再建だ。
内田が言う通り、胸の形も胸への思い入れも人それぞれ。局所再発率は部分切除よりも全摘の方が低いため、迷わず全摘を選ぶ人もいれば、乳房が失われることによるボディーイメージの変化に抵抗感を覚える人もいる。
再建とは、全摘をした上で、乳がんの切除で失われた乳房をインプラントや自家組織を用いて再び作り直す手術のこと。この選択肢が一つ加わるだけで、患者の心理的な負担も少しは減ることだろう。
ただ、リスクが全くないわけではない。インプラントの場合はアレルギーや感染症を引き起こす可能性もあるし、自家組織の場合は胸とは別の場所に傷が残る。それを聞いた息子・遼太郎(望月歩)の「命の方が大事」という意見に押し切られ、全摘で再建はしないという選択をした美和。
54歳という年齢もあり、形成外科の医師も「もう授乳に使うこともないわけだし、再発した時に発見しやすいことも考えると全摘してそのままでもいいでしょ」と言う。どちらも美和の身体を思っての意見だが、それを判断するのは彼らではない。決めるのはあくまでも美和本人だ。
女手一つで遼太郎を育ててきた美和には現在、アントニオという外国人の恋人がいる。遼太郎が自立し、喪失感を覚える美和に「これからは自分のために走っていいんだよ」と言ってくれた大切な人。そんなアントニオが来月、仕事で日本を離れる前に、彼からもらったワンピースでプロポーズしたいという密かな想いを美和は抱いていた。
命はもちろん大事。今後、出産して授乳する可能性も限りなく低い。だけど、「いくつになっても美しくありたい」「愛する人に美しい自分を見せたい」というのも、再建する正当で立派な理由だ。海外に比べて日本の再建率が低いのは、その技術を持った病院や医師がまだ少ないのもあるが、「たかが胸」とか、「見た目なんてどうでもいい」という風潮が社会にあるからなのかもしれない。
アントニオの帰国に合わせ、全摘と再建を同日に行うという美和の選択を遼太郎も素直には受け入れ難かった。それでも、子育てというフルマラソンを完走した美和は、新しいスタートを切るために再建へ臨む。
オペ室のスケジュールはすでに満杯だったが、まどかの懸命な働きかけの結果、どうにか美和の手術を組み込むことができた。しかし、手術の日は、内田の子どもの運動会。研修医時代の指導医だった夫は学会があり、普段は忙しい内田も、その日は必ず予定を空けると子どもに約束していたのだ。
激務をこなしながらの育児は、想像を絶するような大変さだろう。職場では常に冷静で完璧に見える内田だが、家では髪を振り乱して予想外なことだらけの育児に必死に向き合っていた。
「日々の選択が積み重なって、その人だけの人生が形づくられていく」と手塚(木村多江)は言う。その手塚が手がけた論文は賞を獲得し、世界的に権威のある医学雑誌に掲載されることになった。本当は内田も論文をもっと書きたいけど、なかなか時間を作ることができず、モヤモヤする瞬間もある。だが、そのモヤモヤも独身の手塚にとっては少し羨ましくもあったり、隣の芝生は往々にして青く見えるもの。
大事なのは、自分が選んだ道でどう生きるかではないだろうか。内田は仕事と育児の間で葛藤しながらも、「子どもがいるからこそ、時間制限があって、決断が早くなって、仕事にメリハリが出る」と前向きに捉え、性格が良くて技術がある最高の医者を目指して研鑽を続けている。
そんな彼女だからこそ、美和のような人に寄り添い、その要望に応えることができるのだ。美和の手術は成功。術後には「お母さんの選択を応援してあげてほしい」というまどかの説得を受け、遼太郎も病室に駆けつけた。遼太郎やアントニオが見守る中、胸があることに感動して涙を流す美和。その光景を見る内田の目も潤んでいる。
きっと内田はこういう瞬間に立ち会うたび、「この道を選んで良かった」と思うのではないだろうか。そう思えるように、日々を懸命に生きる内田の姿に視聴者からは「内田先生本当にかっこよすぎる、大尊敬」「選ばなかった方ってどうしても気になるのもわかる」「自分で選んだ選択肢が後々の正解になるようにがんばりたいよね」「わたしも心に内田先生でがんばってみよ」という声が上がった。
そうした先輩たちの生き様を通して、選択の大切さを身に染みて感じたまどか。そんな中、消化器外科で研修中の萌(小西桜子)が指導医の菅野(鈴木伸之)と大接近! 元より菅野と関係を深めていたまどかに遠慮もせず、猛アプローチをかける。
これまで行き当たりばったりで生きてきたまどかは、ケーキの種類でさえも咄嗟に選ぶことができなかった。もちろん、選ばなかったことにより、自分に回ってきた苦手なブルーベリーのケーキを意外に美味しいと感じることもある。だけど、それは他に絶対手に入れたいものがなかったからに過ぎない。
菅野はまどかの中でとっくに、誰にも奪われたくない存在となっていたのだろう。萌に想いを寄せる桃木(吉村界人)からもらったペアチケットで、菅野を思い切ってアザラシ展に誘う。初めてのデートで2人の距離はますます縮まった。恋愛に関しては打算的な萌だが、菅野への思いは案外真剣だったのかもしれない。それでもまどかに敵意をむき出しにすることなく、自分の中ですっぱりと蹴りをつけて、「応援してる」と言ってあげられる彼女は絶対に幸せになれる。
そんな萌は美容皮膚科一択かと思いきや、美和の手術で看過され、乳腺外科を専攻することに決めた。一方、まどかは「この手で病巣を取り除いて患者さんの人生が変わるって体験をどうしても味わってみたい」と外科に進もうと考える。そして菅野にも指導を仰ぐが、「今の病院を離れるつもりなんだ」と意外な返答が。状況的に、角田(奥田瑛二)を通じて届いた一枚のハガキが、菅野の選択を後押ししたことは間違いない。次週は未だベールに包まれた菅野の過去が明らかになりそうだ。
第8話の視聴はこちらから
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第10話(最終回)では、まどかが自分の人生も患者の人生も大切にするための選択を下す。菅野との恋の結末も多幸感に溢れ、視聴者からは続編を望む声が多数上がった。
本作を手がけた塩村香里プロデューサーにインタビュー。主演の芳根さんや、まどかが初期研修で最初に配属された消化器外科の指導医・菅野を演じる鈴木伸之さんの印象、2人の気になる今後の恋愛模様などについてお話を伺いました。
第9話では、それぞれが進路の選択と向き合う中、ベテラン患者の橋口が腎臓がんで再び入院してくる。そんな橋口を元気づけようと、ある実行したサプライズを実行したつぼみ隊に視聴者から「かわいすぎる」「愛おしい」という声が上がった。
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